現代人の法話 
〜 ありがたい話を 〜

地域の様々な方が集まる会合に出席した際、私が僧侶だと分かると「お坊さんでしたか、せっかくだから何かありがたい話をして下さい」と言われた事が何回かあった。

 

私はそんな時、「ありがたい」と言うのは漢字で有り難い≠ニ書き、有る事が難しい、滅多にないという意味である。世界には六十億人も人がいるのに、今あなたと出会えた事こそが一番有り難い話だとお話しする。

お釈迦様の言葉に「人として生まれる事は難しい。やがて死すべきものの、今いのちある事も有り難い。仏の教えを聞く事も難しく、世に仏さまがいらっしゃるのも有り難い」とある。考えてみれば今、私は当たり前の様な顔をして毎日を生きているが、よくよく考えてみれば毎日の食べ物から水、住まい、衣服に恵まれ、事故や天災、戦争に遭わずに生きて延びているのはかなり難しい事である。つまり自分がここに存在する事だけでもどれだけ難しい事であるかに本当に気付けば自然に感謝の心が湧き上がってくる。

感謝の気持ちを表す日本語ありがとう≠フ語源もこのお釈迦様の言葉にある。

 

いよいよ夏と共にお盆がやって来る。今、ここに自分の命がある事、その命を繋いで下さったご先祖をご供養させて頂ける事がどれほど有り難い℃魔ゥを思い、お参りいただきたい。




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