現代人の法話 
〜 耕心〜心を耕す仏教 〜

  

仏教を開かれたお釈迦さまの時代のお話である。ある時、お釈迦さまと弟子達が托鉢に出掛ける途中、田んぼの脇を歩いておられた。すると田植えをしていた一人の農夫が声を掛けてきた。「お釈迦さん、あんた達は良いね。何も作らないで生活ができて。わしらはこうして田を耕し、種を蒔いて食を得ている。あんたも自分らで耕し種を蒔いて、食を得たらどうですか?」

するとお釈迦さまは穏やかに答えられます。「お百姓さん、私達もあなた方と同じ事をしているのです。私たちも、耕し、種を蒔き、食を得ているのです。ただし、私たちが相手にするのは田んぼではありません。人の心です。私たちは人々の心を耕しているのです。」

 

私はこのお話がとても気に入っている。本来の仏教、そしてお寺の在り方、すなわちその教えに触れる事によって、それぞれの心が耕され、心が安らかに、また豊かになる理想の姿が示されていると感じる。今回の寺報の中「お寺を考える」でも記した通り、今後、近龍寺もこの『耕心』をキーワードに、ご葬儀やご法事等、大切なご供養を勤め、また新しい行事を通じて、皆様の心の安寧、そして豊かさに寄与して参りますので、よろしくお願い申し上げます。拝




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