現代人の法話 
〜 法事には子・孫と一緒にお参りを 〜

 

私が大学生の頃、オートバイの世界選手権が初めて日本で開かれる事となり、当時レーサーを夢見ていた私は早々にチケットを購入、友人たちと会場にキャンプをしながら観戦する計画を立てていた。ところがその1か月ほど前になった時、急に父から、田舎の兄(私には叔父)から電話があってその日は祖父母の法事があるから一緒に群馬に行くと言われた。私にとってその日は譲れなかった。しかし父から頑としてキャンセル料は出してやるから法事に来いと言われ、泣く泣くレース観戦を断念、家族で群馬に出掛けた。久しぶりに親戚達に会い「大きくなったのぉ」「立派になって」等と言われたが誰だか分からない人もおり、また同じ孫の立場で来ていない者もおり、我ながらかなり不機嫌だったのを覚えている。その日は祖父の33回忌と祖母の23回忌、私が生まれた時には二人ともすでに亡くなっており、その人となりは全く知らなかったが、お酒が入って陽気になった叔父さんがお爺さんが亡くなった時、兄弟はまだ学生でお婆さんが苦労した事、あそこにいる親戚が助けてくれた事、次男坊だった父は弟の面倒を見ながら畑を手伝い、兄弟で麦踏みをした事などを話してくれた事を覚えている。

今となれば、やはり法事に行って良かったと思う。自分の知らない色々な話が聞けたし、当時は未熟さゆえに分からなかったが、若くして逝った父、苦労をかけた母の供養の席に自分の息子が来ないなど考えられない父の気持ちが今は理解できる。

さて私の体験のように、法事とは亡き方のご供養が第一義ではあるが、同時にその家の歴史や亡き方のお人柄、ご教訓を改めて振り返り、親族間で受け継いでいく場でもあると感じる。そうやって家風というかその家の代々の良き伝統が受け継がれてきた。そんな訳でぜひ法事の際は、子供さん、お孫さんと一緒にお参りをお願いしたい。子供はうるさくて迷惑だからなんて気にしないで下さい、賑やかなのが子供の長所です。年長者が一心に手を合わせ祈る姿は必ず幼な心に何かを残します。そしてそこで話される事はご当家の良き伝統、大切な家風として必ず受け継がれていきます。

いよいよお盆です。ぜひ皆様ご家族揃ってのお参りをお待ちしております。




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