現代人の法話 
〜 終活(しゅうかつ)を考える 〜

近年終活≠ニいう新しい言葉が定着してきた。これは学生達の就職活動を就活と呼ぶ事になぞらえて、人生の終わりのための活動〜葬儀やお墓の生前契約、遺言書の作成など〜を終活≠ニ呼ぶのである。

これまで日本人は死と直面する事を避けてきた。死について考えるなど縁起が悪いものとして日常から意識的に切り離し、生きる楽しみを謳歌(おうか)する事を優先してきた。経済も人口も右肩上がりの時代はそれで良かったが、それが終わり緩(ゆる)やかな後退期に入った現代となって、多くの人が自分の人生の終わりに不安を感じ考えはじめ、マスコミや産業界もそれに注目し終活ビジネス≠ェ展開されはじめてきた。

しかしこの事には良い面もある。なぜならば自分の死を見つめる事で、自分にとって何が大切なことなのか、最後までどう生き抜くべきなのか、自分の生き方を問い直し、より良く生きていく事にもつながるからだ。

その終活≠フツールの一つとして市販のエンディングノートがあり、自分が病気になった時の医療・介護をどうするか、亡くなった後、財産をどうするか、さらにはご葬儀を、お墓を等々…様々な内容について自分の意志を記す。私自身手にした事もあったが、そこには周囲の人への気遣いが無くただ自分のエゴを書き連ねていく違和感が残った。

さて昨年、浄土宗がエンディングノートを作った。『縁(えにし)の手帳』という。少々不安を感じ目を通していったが、市販のものの全く異なり、心に響くコラムをはじめ、これまでの人生、ご縁をあらためて振り返り、周囲への感謝、相互理解の中に旅立ちを考える心暖まる内容となっており、安心して皆様にお薦めしたいと思う。

早速、来る3月11日に勉強会を企画、ぜひ共により良く生きていくために一緒に考えていきたい。(平成27年3月現在。今後、勉強会を定期的に開催の予定です)




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