現代人の法話 
〜 「戦後70年を迎えて」 〜

今年は、太平洋戦争が終結して70年という節目の年で、様々な追悼行事が開催、マスメディア等でも特集番組や記事等が組まれている。その中で2つのテーマについて記してみたい。

(1)犠牲者のご供養について 日本人だけで約310万人もの方が亡くなったと言われ、実際お寺の過去帳にもそれは表われ、私も僧侶として真摯に追悼法要をお勤めしたいと考えている。ところでご供養には大きく2つあると考える。1つは法事や法要などの直接的なもの、そして2つはお浄土等からお見守り下さる亡き方にご安心いただき喜んでいただくため、今を、与えられた命を、精一杯生き抜く、いわば間接的なご供養である。この節目を迎え、多くの人と共に亡くなったすべての方々のご冥福を祈り、同時に亡き方達が安心して下さる平和な世界のために自身に何が出来るかを考えたい。そして理屈だけでなく、たとえ小さな事でも行動を起こす人となりたい。

(2)憲法解釈と戦争について 世間では安倍首相の集団的自衛権の憲法解釈変更方針を巡り、大いに議論となっている。私が気になる意見に、@今まで無事で済んでいるのだから変える必要がない。A変えたら戦争に巻き込まれるという2つがある。@については、世界情勢は大きく変化している。現状を変える事は苦痛も伴うが、状況に応じて必要不可欠な場合もあり、現状維持一辺倒は思考停止の恐れもある。Aについては感情的で短絡的過ぎると感じる。愚見を申せば現在の解釈は全く現実的でない部分もあり一部変更は必要だが、国際貢献の名を借りた武力行使を認める政府案には反対というのが私の考えで、戦争は絶対にしないという事を強く訴えたい。また一度変更したらなし崩し的、戦前の様に政府の好き放題になるという危険性も指摘されるが、戦前とは状況が全く異なり、私達やマスコミの言論、行動の自由を奪う蛮行は許さるはずもなく、変化=戦争というのは飛躍し過ぎだと感じる。

今、私達に必要なのは、多くの尊い犠牲を出した歴史から何を学びどう活かすのか、ご供養を通じて、私達一人一人が冷静かつ真剣に考えていく事だと思う。




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