現代人の法話 
〜 「富士登山で感じたこと」 〜

今夏、富士山に登った。幸いお天気にも恵まれ、無事山頂からのご来光も拝し、日本最高地点に立つことも出来た。その際、感じた2つの事を記したい。

 

一つは月並みな言葉だが「千里の道も一歩から」である。正直体力がもつのか、高山病にならないか不安でいっぱい、前日は眠れず、登っている時も足の疲れが辛く、目前に見える山頂がなかなか近づいて来ない事に気持ちも折れかけたが、山頂では達成感に浸りきった。カリスマ経営者で知られ僧侶の資格も持つ稲盛和夫氏は「いまこの1秒の集積が1日となり、その1日の積み重ねが1週間、1ヵ月、1年となって、気がついたら、あれほど高く、手の届かないように見えた山頂に立っていたというのが私たちの人生のありようなのです」と述べ、野球のイチロー選手は「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただ一つの道」と言われた。勇気をもってまずは小さくても一歩を踏み出す。そして積み重ねる。まさにその大切さを体感できた貴重な機会であった。

 

次に案内役の重要さである。山岳ガイドのパサンさん(ネパール人)は実に効果的に声を掛けてくれた。「あと5分で休憩」「ここが一番きつい所、これを超えたら…」「今が頑張り所」等々、実に励まされた。登山を人生にたとえるならば人生の案内役は何か?それは先人の教えであり、仏教の教えである。それらの心の支え、道しるべを持つ人は強い。良き案内役、教えとの出会いを願い、またそのお手伝いをしたいと思う。




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