現代人の法話 
〜 「ご法事は何のため?」 〜

価値観が多様化する現代では、昔からの儀式儀礼やしきたりが古臭い、意義が分からないと遠ざけられる傾向にあり「ご法事は何のためにするのか?」「しなければならないのか?」と面と向かって聞かれる和尚もいるという。

ご法事は第一義に、亡き方のご供養のために営まれるものである。今を生きる私たちが手を合わせ、故人のお浄土での安楽を心から願うと同時に、亡き方の御恩に報いる行いである。しかし私はそれだけでは無いとも考えている。

すなわちご法事は、生きている私達の心のために営まれるものでもある。心静かにお経を聴く中で、亡き方が自分に遺して下さった良き思い出や尊い教えを思い起こす。忙しい日常の中で忘れていた事もあろう。昔は分からなかった事でも年を重ね、改めて亡き方の思いが理解できることもあろう。そしてそれらを今後の自らの生きる道標、支え、そして力にすべく心に刻み直す事にご法事の大きな意義があると考えている。さらに、その後席でそれぞれが感じた事をお互いにお話いただき、亡き方のお徳を縁深い方々が受け継ぐ事も大切であろう。

 

亡き方をご供養させて頂く事で、そのお徳を思い、受け継ぐ。 ー私の思う表題への答である。




Back