現代人の法話 
〜 「ご法事はタイムマシン?」 〜

 

亡き方のご供養をするためのご法事、あなたは本堂(またはご自宅)でその時間、何を考えておられますか?

 

残念ながらお経を耳で聞いていてもなかなか意味は分からない。お経は漢文を音読みで読み上げるためちんぷんかんぷん≠フ語源とも言われる珍文漢文であるからである。(諸説あり)お経を聞くと心が落ち着くと言って下さる方は多いが、ただお経を聞くだけがご法事ではない。読経の時間、皆様にはタイムマシンに乗って頂きたい。

 

と言っても実際にドラえもんの様に過去に行けるのではない。それぞれの心の中で昔に戻って、亡き方との思い出に浸っていただくという意味である。共に過ごした懐かしい思い出、教えて下さった、背中で示して下さった大事な教え、忙しい日常で忘れかけていた事、時が経ち成長し、或いは親になって初めて分ってきた亡き方の想い。それらに思いを致している時、あなたは時を超えて、亡き方に対面している━まさに心のタイムマシンに乗っているのである。

 

ご法事〜供養法要の形骸化が近年指摘され、その意義が忘れられつつある。ご法事は亡き方のご供養を通じて、その方との良き思い出、受け継ぐべき大切な教えを想い起し、それらをあなたの心の支え、力の源、道標とする貴重な機会である。そして、それこそ極楽浄土にいらっしゃる亡き方の願いでもあろう。

 

静かにお経が唱えられ、共にお念仏をお称えする非日常の時間。それらを今後のあなたの人生に生かし、お浄土の亡き方にご安心いただく意義深いものに出来るかどうかは、ひとえにあなたの心構え次第で決まるのです。



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