現代人の法話 
〜 「ありがとうの反対語は?」 〜

ありがとう≠ヘ感謝の気持ちを表す言葉ですが、その反対語をご存知でしょうか?

答えを先に言ってしまうと当たり前≠ナす。

ありがとうは漢字で書くと「有り難し」に由来する言葉で、有る事〜存在する事が、難し〜難しい、すなわち滅多に無い、稀な事に対して感謝する言葉として生まれました。実はこの言葉はお釈迦様の「人に生まるるは難く、いま命あるは有り難く、世に仏あるは難く、仏の教えを聞くは有り難し」に由来します。

私達は今当たり前≠フような顔をして人間として生きていますが、しかしよくよく考えてみるとこの世界には命というものが微生物から昆虫、鳥、魚、動物などなど、数え切れないほど多くあり、その中で人間として命を授かる事は非常に稀である事有り難い℃魔ノ気付かされます。そして一旦生まれてきても病気や事故、災害等で失われる命もある中で、今生き続けている事は滅多に無い幸運に恵まれているとも考えられます。これらを当たり前≠ニ考えれば、そこに感謝の心は生まれず不平不満の貧しい心しか生まれません。生活の中で当たり前≠ニ考えている電気、水道、電話、車や電車の交通機関、医療、食料品や日用品に至るまで、多くの人々の働き、支えがあってこそ存在する有り難い≠烽フですし、自分の命さえも多くのご先祖様達がつないで下さり、周囲の人々が育んで下さった有り難い≠烽フです。

「感謝の中に、幸福がある」という言葉があるように、その事に気付き、感謝する心にこそ、心の平安、幸福が訪れます。逆に何でも当たり前と考え、感謝の心が無く、何にでも不平不満をこぼす人に幸せが訪れる事は無いでしょう。

来たる秋のお彼岸、仏様やご先祖様の前であらためて自分の存在、取り巻く環境を見つめ直し、その有り難さ≠ノ気付き、感謝の心をもって心の平安、幸せへの道を歩んでいただきたいと思います。



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