現代人の法話 
〜 「半眼〜お仏像に学ぶ仏教的な生き方」 〜

お仏像をよくよく拝観するとその眼が半眼=A目を見開いてもおらず、閉じてもいない姿が多いことに気付かされます。

この半眼には諸説ありますが、仏様が本来外を見るべき目を半分閉じて、内なる自分自身、自身の内面を見つめていらっしゃる姿勢を表していると言います。

私はここに仏様からのメッセージを読み取ります。普通私たちの目は外の世界を見ています。ですから人様の様子、特に気に入らない点や正しくない点が良く目に付き、それらに対してストレスを感じたり、時には悪口や責めたりする場合があります。

しかし半眼、半分目を閉じることにより、見逃す訳で無く、考え過ぎない事によって、それらのストレスを減らす事が出来、さらにもう半分で自分の内面を見つめることにより、むしろ自分は大丈夫なのか、人様にストレスや不快感を与えていないかをチェックする事が出来るのです。

室町時代の高僧・蓮如上人は「人の悪きことは、よくよく見ゆるなり。我が身の悪きことは、覚えざるものなり」と説き、他人の動向に必要以上に感情を左右される事なく、「人のふり見て、我がふり直せ」で、自分自身の考え、行動に注意すべきであると諭されました。この半眼の姿は家族、職場、ご近所などの人間関係の付き合い方に大きなヒントを与えてくれます。

今後、お仏像を拝む機会がありましたら、ぜひこの半眼にご注目いただき、この教えを思い出していただければ幸いです。 (本文は、仏教耕心講演会での主催者小講話を再構成したものです)



Back