現代人の法話 
〜 「諸行無常は吉兆の言葉」 〜

令和初めてのお正月に「諸行無常」という仏教用語を贈りたい。 この言葉、平家物語の冒頭や弔問の際に使われる等あまりポジティブな印象は受けず、むしろネガティブな言葉と一般的には受けとめられている。しかし本来の意味は「すべては移りゆく変化する」という意味である。

絶大な栄華を誇ったおごる平家もいつかは衰退久しからず≠ナ、また人の命も移りゆく時間には逆らえずお浄土へと旅立つ(無情という意味ではない)という使用法による印象が強すぎる一方、「いいことが続かないのも無常。悪いことばかりが続かないのも無常」という言葉のように、良→悪の変化だけでなく、悪→良の変化、すなわち苦境から抜け出し、成長・成功することも諸行無常の意味する一面である。名経営者として知られた松下幸之助氏は「諸行無常は万物流転∞日々新た≠ニいうことだ」と希望的に語り、ある先徳は「私は苦境にあった時、諸行無常〜すべては変化する存在だ。諦めなければ必ず好転する。たとえどんなに辛くても 春を迎えぬ冬はないのだ」と念じ耐え忍んだと語られた。

生きていく中では必ず良い事も悪い事もある。目標に向かって努力する中でスランプや挫折もあるだろう。そんな時「諸行無常」の言葉、意味する所を思い出し、グッと堪えて投げ出すことなく精進努力を続けていれば必ず吉兆、良いことが巡ってくる。

新年にあたり、皆様が仏教の教えのもとに自らを律し励まし行動され、大きな成果や心の安らぎを手にすることを心より願います。



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