現代人の法話 
〜 「花まつり〜唯我独尊とは」 〜

 4月8日は、お釈迦様のお誕生日「花まつり」です。お釈迦様は今から約2千5百年前、インド北方でご誕生され、すぐに7歩歩み、右手で天を、左手で地を指さして「天上天下 唯我独尊」と唱えたと伝わります。
 7歩というのは、地獄餓鬼畜生阿修羅人天の六道を超えて7番目の世界=仏の世界に進まれる事を暗示しているとされ、また「天上天下 唯我独尊」の言葉にはその解釈に諸説があります。
 これはお釈迦様ご誕生を述べたお経に数種ある事が由来し、1つには「天上天下(全世界)の中で、我のみが尊い。なぜなら将来悟りを開き仏となるからである」があり、2つ目には「全世界の中で、我のみが尊い。なぜなら将来苦に悩む人々すべてを救うからである」があり、自身の悟り(自利)、そして人々の救済(利他)という2つの側面からの説があります。ちなみに現在使われるこの世で自分ほど偉(えら)いものはいないとうぬぼれる事≠ニいう解釈は完全に誤用・歪曲(わいきょく)されたものです。
 そして最後に「全世界の中で私という存在は唯(ただ)一人、故にすべての人それぞれが尊い」という解釈があります。私はお経の説も大事ですが、この解釈が最も現代人に響くものだと感じます。
 現代には様々な悩みがあり、特に多感な時期には自分自身の存在価値やその大切さ、尊さを忘れ、自暴自棄になってしまう方もいます。しかしこの言葉により、自分自身が全世界に唯一無二の存在・個性であり、その一人一人すべての人がそれぞれ関係し支え合っている尊く大切な仲間であることを改めて実感できるこの言葉に、私自身が勇気をもらっているからです。



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