現代人の法話 
〜 「利他行〜お施餓鬼の心」 〜

 来たる5月22日は250年続く当山の大施餓鬼会です。今般のコロナ禍を受けて昨年同様特例縮小での開催となりますが、その根幹である精神利他行≠ヘ変わりがありません。利他行とは他を利する行い〜他の人に良い事・親切をする事を言い、お施餓鬼が誰にもご供養してもらえない憐れな餓鬼達(仏教に説く苦しみの世界にいる亡者)に施し、そこから得られる功徳(仏教的なご褒美・ご利益)を、お浄土におられる皆様のご先祖様方にご回向、お贈りしてお喜び頂くという主旨に通じています。
 利他というと個人主義の現代では一見無駄にさえ感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、日本には古来から「情けは人の為ならず」との言葉があるように他人への情け・利他行は最終的に自分への幸運・ご利益として還って来ます。(無論、打算的な情けは除外)これは万国共通の考え方のようで、米国の偉人ら、マーク・トウェインは「自分が元気になる最高の方法は、他人を元気にするように努めることだ」と語り、フランクリンは「私が自分だけのために働いている時は自分だけしか私のために働かなかった。しかし私が人のために働くようになってからは人も私のために働いてくれたのだ」と語り、人のための善行が最終的には自分のためになることを教えて下さっています。わが国では、最澄上人が「己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり」と、日蓮上人が「人に施せば、わが身の助けになる」と述べ、また教師の水谷修氏は「人のために何かしてごらん。返ってくる「ありがとう」が生きる力になるよ」と利他行が最も尊く自分の幸せ、やり甲斐のためにもなる事を諭して下さっています。
 現在、私達はコロナ禍で不自由な生活を強いられていますが、それぞれが他人に対し、思いやり、感謝の心で接し、さらに不要不急の外出を控えるの事も充分に利他行となります。お施餓鬼に際し、ぜひ皆様にも種々の利他行を意識、実践し、ご自身の運気、元気も向上させて頂きたいと思います。



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