現代人の法話 
〜 「坊主 丸儲け?」 〜

 表題の「坊主 丸儲け」は僧侶が資本(原材料費等)や経費などを使わなくても利益(りえき)・お布施を得る事が出来る事を揶揄した言葉で、元手無しで思わぬ儲けをした時などにも使われる慣用句です。
 しかし本当にそうなのでしょうか?実際に寺におりますと残念ながら(?)全くそんな事はありません。お寺を維持するには想像以上の経費が掛かります。建築物の修繕には伝統工法が多いため一般より原材料費・工賃などが必要で、仏具、衣なども多くがオーダーメイドのため驚くほど高価なものが多く、また皆様が気持ちよくお参りできるようにと植木の手入れ、草むしり、掃除など維持管理費も多岐にわたります。確かに宗教法人はお布施は無税ですが、事業所得には課税されますし、お布施が住職個人に入ると思っている人もいらっしゃいますが、それは大きな誤解で、私個人はお寺から決まったお給料をいただき皆様同様、源泉徴収もされ所得税・市民税も納めています。またご法事、ご葬儀だけでなく、日々読経・勉強し自分を磨き、諸行事を企画開催、お掃除、営繕に至るまでやることが山積みで「どこが丸儲けなの?」と初めに言い出した人に聞いてみたいものです。
 しかしながら大切なお檀家の皆様のご葬儀、ご供養を真摯に執り行い、深い悲しみにあるご遺族の心に寄り添い、また仏教の教えを弘め、心の安らぎ、豊かさを育む僧侶の役目には、私はおおいにやり甲斐を見出しています。
 「ローソクは身を減らして、周りを照らす」という仏教の利他の精神、他人のために生きる慈悲を表す言葉があります。「丸儲け」でなく、身をけずっても、皆様の心にあかりを灯すローソクのようなお寺を目指して精進して参りますので、何とぞ変わらぬご支援ご協力をお願い申し上げます。拝



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