現代人の法話 
〜 「巨人の肩に乗って…」 〜

 「巨人の肩に乗っているから、遠くを見ることが出来る」これは12世紀のフランスで活躍した学者・ベルナールの言葉で、過去の賢人やその人達が残した研究成果や著書・作品を「巨人」にたとえ、その力を借りているからこそ、私達はより遠く、より広く、より深く、この世界を見る事、進歩出来る事を差し示した言葉です。
 確かに私達が学問、仕事など様々な課題に取り組む時、全(まった)くのゼロから進める事はありえません。まずは関連する多くの先人の知恵をしっかりと学び、それを元に、ベースにしてこそ、より進んだ成果を出すことが出来るのです。すなわち私達は巨人の肩の上〜膨大(ぼうだい)な先人の知見(ちけん)、成果〜に乗って遥か遠くを見渡すように、それらを活用して成長発展をする事が出来たのです。この言葉は、先人達への感謝の念と、その知見、成果を積極的に学ぶべきことを諭(さと)し示して下さっています。
 それは仏教をはじめ、宗教も同じです。様々な宗教行事・儀式、またその教えには膨大な先人たちの知恵が込められているのです。そしてその肩に乗れば〜それを学んでいけば、高い視点から遠くが広く見渡せるように、心が穏やかに安らかな境地が目前に広がってくるのです。残念なのはそれをたった数十年の人生経験をもとに、古臭いもの、何か怪しげなもの、価値の無いもの、と判断して見向きもしない方がいらっしゃる事です。それは宝の山が目の前にあるのに視野が狭いために見逃しているようなものです。
 ぜひ共に「仏の教え」という巨人の肩に乗って、多くを学び、心晴れわたる素晴らしい眺望を、心穏やかで豊かな人生を楽しんでいただきたいと願います。



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