現代人の法話 
〜 「恩送り≠ニは…」 〜

 先日ある和尚から「恩送り」という美しい言葉がある事を教えて頂きました。「恩返し」は知っていましたが、さて「恩送り」とは…?
 まず「恩返し」とは、ご恩〜親切や善意、恵み〜を下さった方にお返しをする1対1のやり取りですが、「恩送り」とは誰かから受けたご恩を直接その方ではなく、別の方々に送る事を言います。
 私達は、親、兄弟、先生、友人、先輩、同輩、地域の人々等から数え切れないほど多くのご恩を受けて生きています。そのご恩を直接返せれば良いのですが無理な場合もあり、ならば自分が受けたご恩を、今度は広く周囲の方々にして差し上げる、そうすればご恩の輪〜親切や善意、恵み等がひろく広がり良き世界を生み出していくのです。それが「恩送り」の意味です。
 作家・作詞家で真宗の僧侶でもあった永六輔師はこれを「生きているという事は誰かに借り作る事。生きていくという事はその借りを返してゆく事。誰かに借りたら誰かに返そう。誰かにそうしてもらったように誰かにそうしてあげよう。人は一人では生きてゆけない。誰も一人では歩いてゆけない」と歌詞にされ、お釈迦様は「松明から多くの火を分けても、松明の火は元のままである様に、幸福や善意というものは、いくら人へ分けても減りません」とお示し下され、「恩送り」をお勧め下さっています。



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