現代人の法話
〜 「父の33回忌を迎えて」 〜
今年11月、住職は実父の33回忌を迎えます。ご承知の通り仏教では33回忌は大きな節目であり、私も実家の横浜に家族と行き、母と姉家族らとご法事を営むのですが、よく考えますと、お檀家さんのご法事で33回忌をお勤めする事はあっても、他のお坊さんに親の33回忌を依頼するのは初めてです。
寺でのご法事では「亡き方との思い出を振り返り、頂いた教えとご恩をあらためて思い起こす。また当時どんな事を感じ、考えたのか静かに思いを致し、思い出した事を自分の心に据え直して、それを元に今後をしっかり生きていく事をお約束されますように」とお話し致します。当日は私もそうしたいと考えていますが、さらには父が旅立った後の32年間の様々な出来事も心の中で報告したいですし、今年米寿のお祝いをした母、そして姉と私の家族を護ってくれるよう頼むつもりでいます。
思えば、この32年間いろいろな事がありました。当時は建設会社に入社したばかりでしたが、その後結婚、数年後近龍寺に入り副住職を13年間勤め、先代弘道住職の遷化にともない第28世住職となりました。2人の子供にも恵まれ子育てに悩んだ時期もありますが、今では2人共に成人し、私でなく父に似たのか生真面目で優しい子に育ってくれました。
現代は何かと慌ただしい時代です。ご法事はそんな中で、故人との思い出を静かに振り返り、心の中で対話をする大切な時間でありましょう。この私の経験を元に、ご法事がお檀家さん一人一人の心により染み入り、生きる力となるよう今後も精進してまいりたいと考えています。