現代人の法話
〜 「これが私たちの時代だ」 〜
チベット仏教の指導者、ダライ・ラマ14世の詩『現代の矛盾』にこんな言葉があります。(抜粋)
大きくなった家 小さくなった家族
高まった利便性 無くなったゆとり
増えた薬 損なわれた健康
伸びた利益 薄まった絆
これが私たちの時代だ
この言葉に接した時、皆さんはどんな感想を持たれるでしょうか?
私たちは、物質的な豊かさ〜例えば家や車、お金などの財産。便利で快適な手段、ツール〜例えば飛行機や新幹線等の高速移動手段、先進的な医療、インターネットや携帯電話など。それらの条件=欲望を満たせば幸せな一生を送る事が出来ると考えていましたが、その反面で失ったものがある事をダライ・ラマ師はこの短い言葉で教え諭して下さり、私達も現代社会の様々な問題を考えてみると、欲望の充足が真の幸せに必ずしもつながらない事にうすうす気付かされています。
仏教に「欲望は炎である」という言葉があります。炎は上手く使えば、暖も取れるし明かりにもなり料理も出来ます。しかし大きくなり過ぎれば火事になってしまい、自分の身も危うくなってしまいます。欲も同じで適度であれば向上心、努力につながりますが、度が過ぎると災いとなってしまうのです。
新しい年にあたり、このダライ・ラマ師の言葉、仏教の教えを改めてかみしめ、古臭いと言って捨て置いてきたもの、考え方、価値観をもう一度振り返った所に新たな気付きが生まれ、心の安らぎ、心の豊かさへの道を切り拓く事が出来ると信じています。