現代人の法話 
〜 「住職、還暦(かんれき)になりました」 〜

 令和8年を迎え、当山28世住職は数え年で60歳、還暦となりました。還暦は古代中国の暦の数え方で十干十二支(じっかんじゅうにし)≠ェ一巡し「元の暦に還る」という意味を持つ人生の節目です。かつては長寿のお祝いであり、魔除けの色とされる赤い≠ソゃんちゃんこを着る風習も残っていますが、現代では60歳はまだまだ現役、一つの節目として新たな門出を祝う意味合いが強くなっています。
 振り返ってみますと、ここまで本当にあっという間で、まだまだ気持ちは20代、人生これからが本番という気持ちですが、身体の方は正直で、老眼や腰痛、肩こりに悩まされ、少し無理をすると疲労回復が遅く体力の衰えも徐々にではありますが感じています。
 しかしこんな名言があります。「老年は山登りに似ている。登れば登るほど息切れするが、視野はますます広くなる(スウェーデンの映画監督・ベルイマン氏)」すなわち年をとるという事は、体力が衰え、山登りで言えばすぐハァハァ息切れしてしまう事になるが、高い山に登っていけば広く遠くまで見渡せるように、人生の視野も広がり、経験が豊かになる事で沢山の良き智慧を手にし、また人柄も寛容、穏やかになるという意味です。
 お釈迦様が悩まれた「生老病死」の一つが「老」ですが、捉え方によってはネガティブな面だけでなく、豊かな経験から広い視野と智慧を手に出来るという良い面もあり、お釈迦様も「髪が白くなっただけで長老となるのではない、自らを浄め、慈しみの心で、真理を学んでこそ尊敬される長老となるのである」と戒(いまし)められました。
 年頭そして還暦の節目にあたり、この2つの言葉を心に留め置き、今後とも寺院活動はじめ、自らの心の修養に精進してまいりたいと思います。



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