ペルセウス座流星群と金星食


実は2・3日前から(この放送は8月12日)、普段よりたくさんの流れ星が飛んでいます。ペルセウス座流星群といって、今夜と明日の夜も見えます。山奥や高い山の上で空が暗いところで見れば、1時間に30個ぐらいの流れ星が見えます。街中だと空が明るいので1時間に5個ぐらい、郊外に出れば10個ぐらいは見えると思います。今夜、つまり12日の夜が流星出現のピークです。

明日(13日)の夜は見える流星数が減りますが、まだ見えます。明日は流星の他におまけが付きます。14日の明け方、金星食があります。金星が月の向こう側に隠れます。珍しい現象なので、晴れたら是非見てください。
明け方2時頃、東の空に月齢26の月(反対側の三日月)が昇ってきます。そのすぐ横に非常に明るい星があります。これが金星。月が昇っていくとともに金星との距離が近づいていって、2時44分頃、くっつきます。そして月の裏側に隠れます。
その後、金星は月の裏側を通って3時34分頃、月の欠けていて暗い側から現れます。このページの一番下にシミュレーション画像があります。肉眼では金星の形まではわかりませんが、望遠鏡で見れば、低倍率でも半月形の金星が見えます。

話は流れ星に戻りますが、流れ星はいつどこに出るかわかりません。夜空のどこを見ていても見える確率はほとんど同じなので、真上を見ているのが一番いいでしょう。1時間とか2時間とか、ある程度長い時間見ている必要があります。寝ころんで気長に見るのがいいでしょう。

長い時間流星をみていると、あることに気づきます。
立て続けにいくつかの流星が出る時があるかと思えば、しばらく流星が現れない時間帯がある。これを繰り返します。流星観測者の間では、これを「豆まき現象」と呼んでいます。まるで神様が空の上から、時々流星をまいているような感じです。オーナー1の長い経験上、豆まき現象は確かにあります。理由は諸説ありますが、みなさんも確かめてみてください。




今回は「流星群」という現象について解説します。


★ 流星群ってなに?

流星群は毎年(または何年かに一度)、決まった時期に流星がたくさん見える現象です。なぜ決まった時期にたくさん見えるのでしょう。
それは、地球が太陽のまわりを1周する途中に、流星の元になる粒がたくさん集まっている軌道と交差して、たくさんの粒が地球にぶつかってくるためです。
流星の元になる粒も地球と同じように太陽のまわりを回っています。地球は太陽のまわりをほぼ円形に回っていますが、流星は細長い楕円形を描いて回っています。流星の軌道と地球の軌道が交差して、地球と流星の元になる粒がぶつかったとき、流れ星として見えます。
上側の図を見ると、地球は2カ所で流星軌道に交差するように見えますが、流星軌道は地球の軌道に対して傾いているため、立体交差になります。ほとんどは1カ所でしか交差しません。


★ 流星の元になる粒の帯ができる理由は?

すい星(ほうき星)という天体があります。すい星本体は「汚れた雪だるま」みたいな天体です。
たとえば、校庭に少ししか雪が降らないのに無理に雪だるまをつくると、砂や土が混ざって汚い雪だるまになりますね。すい星というのはそんな構造をしている天体と考えられています。
多くの彗星は太陽のまわりを細長い楕円形を描いて回っています。それが太陽に近づいたとき、太陽の熱を受けて表面が溶けてはがれ落ちたり、内部からガスが吹き出してきて、いっしょにチリが吹き飛ばされます。こうして、すい星と同じ軌道にたくさんのチリが放出されます。これが流星の元になる粒です。この粒は、地球のような天体にぶつからない限り、ずっと同じ軌道を描いたまま太陽の周りを回り続けます。



マックノートすい星


すい星の尾は、すい星から出たガスとチリが光っている









すい星の軌道上にある程度の幅を持って、流星の元になる粒がばらまかれます。ですから、すい星の軌道と、すい星からばらまかれた粒の軌道は同じです。
この楕円形の軌道上にまんべんなく流星の元になる粒がばらまかれていれば、毎年必ず同じ時期に流星群が現れます。ところが、軌道上の一部にしか粒がないと、その粒のあるところと地球が交差した年にしか流星群が現れません。


★ 流星群は、星座の中の1カ所からまわりに飛び出していくように見える

ペルセウス座流星群は、ペルセウス座の中の1点からその周りに向かって流星が飛び出して行くように見えます。
なぜそう見えるのか。次の図で説明します。
流星群の場合の流星の元になる粒は、ある程度の幅を持って地球に対して平行に進んできます(実際の流星物質が広がっている幅は、この図よりももっと広くて、ペルセウス座流星群の場合、地球が5日かけて通過するぐらいの幅です)。ですから、すべての流星は地球に対して平行に飛びます。これがなぜ、ある星座の中のある1点から飛び出してくるように見えるのでしょうか?
次の図をご覧ください。
流星は地球の大気の中で光ります。図の水色の部分です。それを観測者がいるところから見ると、バックの星座の前に飛んだと見えます。
実際の流星は平行に飛ぶのに、観測者から見ると、流星が輻射点から四方八方に飛びだしていくように見える理由がこの図の通りです。
図をクリックすると大きい図が出ます。







金星食シミュレーション画像(ステラナビゲーター9にて作成)



2012年8月14日 午前2時44分


  左下にあるのが金星。
  この後、月の裏側に隠れます。














写真をクリックすると大きな画像が出ます。

2012年
 8月14日

午前 3:35








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