ニンフ (妖精)

今日は妖精がテーマですが、星座の神話の中には「ニンフ」というのがたくさん登場します。ニンフを日本語に訳したのが「妖精」。
ニンフとい呼び名も英語の「Nymph」で、ギリシャ語ではありません。

ギリシャ神話の中のニンフは、神様と人間の中間ぐらいの存在です。そして、神話の中で重要な役割を果たしています。ニンフは泉や川、森、海など自然の世界に棲んでいて、若くて美しい女性の姿をしています。
ニンフは自然と共に生き、普通に暮らしている限り、年をとらないし死ぬこともありません。しかし、泉のニンフは泉が涸れると死んでしまいます。森のニンフは森がなくなると死んでしまいます。海のニンフも海がなくなると死んでしまいますが、海はよほどのことがない限りなくならないので、神に近い永遠の命を持ちます。
神や英雄と結婚したニンフも数多くいます。前々回のおおぐま座・こぐま座の話にもニンフが出てきました。美しすぎたため、ゼウスに見そめられ、結果として熊にされてしまいました。(8月26日 「こどもの星座」参照)

ニンフの絵が多くの画家によって描かれています。よく見かける絵に出てくるニンフは服を着ていません。ニンフが美しいというのは顔だけではなく、体全体が美しいのです。下の絵は泉のニンフ。

ウィリアム・アドルフ・ブグロー画 「Nymphaeum」
 
ニンフが出てくる神話にこんな話があります。

「ヒュラス」という美少年がいました。彼は英雄ヘラクレスの愛人でした。
ある日、ヒュラスは森の奥の泉へ水を汲みに行きました。そこはニンフの住む泉でした。
ヒュラスが泉に近づくと泉の中から数人のニンフが現れ、その美しい体を見せて彼を誘惑しました。
ヒュラスが水辺に寄っていくと、服や腕をつかまれ、水の中に引き込まれてしまいました。
その後、ヒュラスの姿を見た者はいません。

この話も絵になっています。
ウォーターハウス画 「ヒュスラと水の精」
 



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