秋の星座

秋以外の季節に見える星座は、ひとつひとつの星座ごとに、それぞれ違う神話がある場合が多いのですが、秋の夜空に見える星座は、ほとんどすべてがひとつの神話の登場人物になっています。

それは、古代エチオピア王家の物語。登場人物は
  王   ケフェウス
  お后 カシオペア
  娘  アンドロメダ
  勇者 ペルセウス
  天馬 ペガサス
  鯨の化け物
それぞれが星座になっており、6つの星座に関わる物語です。

ここで紹介するのは、日本のこどもたち向けに翻訳された美しいお話です。しかし、元々のギリシャ神話は、とてもこどもには話せないドロドロした美しくない話ばかりです。日本で語られているギリシャ神話は、元々の話とは違うものと言った方がいいです。
日本で語られるギリシャ神話のほとんどは、美しいお話になっています。しかし、元の話は非道徳的だしHだし、神様がそんなことをしていいのか! と言いたくなる話ばかりです。それらが日本に入ってきた時、日本人はまじめだったのですね。すべて美しい話に作り替えました。
それがいつの頃からか、プラネタリウムで語られるようになりました。プラネタリウムで星座にまつわる神話を話すのは日本だけでのようです。ギリシャ神話発祥の地、ヨーロッパでもアメリカでも、プラネタリウムというのは科学的な星の話をする場所です。

下の写真は、古代エチオピア王家の物語の登場人物がすべて写っている写真です。超広角レンズによる写真で、ほとんど空全体が写っています。
 
古代エチオピア王家の物語

古代エチオピアにケフェウスという王様がいました。ケフェウスはとても立派な王様で、国民は皆幸せに暮らしていました。
ケフェウスの妃カシオペアは、大変美しい女性でしたが、その美しさを鼻にかけ、高慢なところがありました。それは自分の美しさにとどまりません。アンドロメダという娘がいましたが、カシオペアは娘が自慢でした。そしてあるとき、「アンドロメダの美しさには、あのネレイドたちも足元にも及ばない」と言いました。
ネレイドとは海の神ポセイドンに遣える妖精で、ポセイドンの孫娘に当たります。しかも、この妖精たちもまた、相当な美貌自慢でした。カシオペアの言葉は聞き捨てなりません。ネレイドたちは怒って、ポセイドンに泣きつきました。
かわいい孫たちを人間に馬鹿にされたポセイドンは、カシオペアを懲らしめようと、恐ろしい化けくじらをエチオピアの海岸に差し向けました。エチオピアの海岸は、日々化けくじらがあらわれるようになりました。津波を起こしては農作物を押し流し、海岸では家畜や人々に襲い掛かり、エチオピアの国は大混乱です。

困り果てたケフェウスは、神様に伺いを立てました。すると、ポセイドンの怒りを静めるためには、アンドロメダを化けくじらの生贄に差し出せというお告げがあったのです。ケフェウスは、国を守るため、泣く泣くアンドロメダを海岸の岩に縛り付けました。アンドロメダ姫が一人海岸で震えていると、海がにわかに波立ち始めました。ついに、化けくじらが姿をあらわしました。
そのときです。
一人の若者が空から舞い降りてきました。天馬ペガサスに乗った、勇者ペルセウスです。ペルセウスは、魔女メデューサを退治し故郷へ帰る途中、偶然通りかかりに、岩に縛られたアンドロメダを見かけたのです。ペルセウスは化けくじらの前に舞い降りると、メデューサの首を突きつけました。メデューサは、その顔を見たものはすべて石になってしまうという恐ろしい怪物です。これにはどんな怪物もひとたまりもありません。化けくじらはたちまち石になり、海の底へと沈んでいきました。

こうしてアンドロメダを無事助け出したペルセウスは、アンドロメダとともにケフェウス王の元へ帰りました。やがて二人は結婚し、末永く幸せに暮らしたということです。
 



戻 る