双眼鏡

星を見るための道具の第1は「目」、肉眼です。星座や天の川のように、空の広い範囲にあるものは肉眼で見るしかありません。

二番目の道具が双眼鏡です。双眼鏡は「比較的狭い範囲」を「詳しく」見るための道具です。「比較的狭い範囲」というのは直径5度から10度ぐらい。こと座やイルカ座、南十字座などの小さな星座1個分ぐらいの広さです。
「詳しく」というのは、双眼鏡で見ると肉眼では見えない暗い星や星雲が見えるようになります。肉眼よりは狭い範囲しか見えませんが、視力が大幅に上がったかのように、暗い星や細かいところまで見えるようになります。
下の図は「こと座」ですが、肉眼で見たものとレンズの直径が3cm程度の双眼鏡で見たものの比較です。(それぞれの左側が白っぽいのは天の川)
円の直径は10度です。見える星の数が全然違いますね。肉眼で見える星は6等星ぐらいまで(街中ではもっと明るい星しか見えません)。3cmの双眼鏡を使うと9等星ぐらいまで見えます。
   
肉眼で見える星の数        3000個
   3cmの双眼鏡で見える星の数 60000個

これは地平線の上にある星の数なので、空全体ではこの2倍になります。もっと大きなレンズが付いている双眼鏡ならもっと暗い星が見えて、見える星の数ももっともっと多くなります。ただ、レンズが大きくなると全体も大きくなり、重くなります。手で持って見るなら、最大でも5cmまで。3cm~4cmぐらいが使いやすいでしょう。初めて買うなら3cmがいいと思います。

双眼鏡の性能は、レンズの直径と倍率で決まります。双眼鏡を選ぶ時は、レンズの直径が同じで倍率が違うものが何種類かあったら、一番倍率の低いものを選んでください。倍率が高い方がよく見えそうですが、高倍率の双眼鏡と低倍率の双眼鏡で星を見較べると、高倍率ではダメなことがすぐ分かります。双眼鏡は
   
倍率が低いほど、広い範囲が見える
   倍率が低いほど、明るく見える
   倍率が高いと、手ぶれで対象がふらふら動いてしまって、見ていてイライラするし、かえって細かいところが見えない
見える範囲が広くないと、見たい天体を視野の中に入れるのに苦労します。天体はとにかく暗いので、できるだけ明るく見える双眼鏡が良いわけです。手で持って見る双眼鏡の倍率は最高で8倍まで。6倍程度が使いやすいでしょう。
どの双眼鏡でも倍率とレンズの直径(口径)が表示されています。倍率が6倍で口径が30mmの双眼鏡の場合、「6 x 30」と表示します。これは万国共通です。

双眼鏡には大きく分けて、次の2つのタイプがあります。左が「ポロプリズム型」、右が「ダハプリズム型」。どちらでも同じ精度の光学部品を使っていれば見え方は同じです。値段はポロプリズム型の方が安い。しかし、見て分かるようにポロプリズム型は大きくて持ち運びの時かさばります。ダハプリズム型はコンパクトで良いのですが、高価な光学部品が必要なため値段が高くなります。。
しかしながら、双眼鏡を販売しているメーカーは国内外多数あります。高額ですが高性能な双眼鏡を販売しているメーカー、ほどほどの性能で安い製品を販売しているメーカー、高性能版から普及品までを販売しているメーカー、いろいろです。価格も同じ口径同じ倍率の製品でも数千円から20万円以上のものまであります。やはり、価格の高いものの方がよく見えます。口径30mmの双眼鏡の場合、2万円以上のものを選んだ方がいいと思います。

双眼鏡はメーカーも機種も非常に多数あるので、選ぶのもたいへんです。日本のメーカーで定評のあるブランドは、ニコン、ペンタックス、フジノン、ミヤウチ、コーワ。海外製品では、ツァイス、ライカ、スワロフスキーなどがあります。海外3社は非常に高額です。
値段が安くて性能もいい、お勧めブランドがこちら。 「日の出光学」 http://bino.hinode-opt.jp/
販売は通販のみです。ただ、ペンション「スター☆パーティー」や「フィールドin楓林舎」などで、日の出光学の双眼鏡を展示販売しています。

キャノンの双眼鏡にすばらしいものがあります。
口径42mm、倍率10倍 右の写真の双眼鏡。上の話からすると、倍率10倍は高すぎるだろうと思いますよね。これがすごいのは、光学式手ブレ補正機構が付いていて、手ぶれしないんです。星がピタッと止まって見えて、すごく見やすい。レンズもすばらしく高精度なものが入っていて、きれいに見えます。これを覗くと、手ぶれがこれほど星を見えにくくしていたんだ! ということが分かります。10倍にしては視野も広いし、極力暗くならない工夫もされています。ちょっと大きくて重いのですが、とにかくきれいな星を見たい人はこれをお勧めします。ただし、値段は高いです。


キャノン  10×42 L IS WP
メーカー希望小売価格:¥180,000




秋の夜空に双眼鏡向きのこんな天体があります。4枚とも同じ縮尺です。
 (3cm程度の小型双眼鏡では、見える星の数はこの写真より少なくなります)


左 アンドロメダ大星雲

  太陽が含まれる銀河系の
  隣にある渦巻き銀河




右 ペルセウス座の二重星団

  ふたつの星団が並んでいる
  天の川の中なので星だらけ




左 ペルセウス座α星付近

  太陽系に近い所にある星団
  近くにあるので広がって
  まばらに見える




右 M45(すばる)

  日本名 すばる
  欧米名 プレアデス
 双眼鏡で見るととてもきれい
 



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