秋の天の川

今日の話は秋の天の川。
天の川というと、一般には夏のイメージがありますね。しかし、天の川というのは、地球の周りをぐるっとひと回り取り巻いていて、全部つながっています。日本では春以外の季節にはいつでも見えます。春の天の川は、南半球側の空にあるので日本からは見えません。逆に、秋の天の川は北半球側にあるので、南半球からは見えません。

天の川には濃いところと薄いところがあります。日本の夏は、天の川の一番濃いところが見えています。また、夏の天の川は、天頂から南の地平線に向かって流れているので、川をイメージしやすいのだと思います。
ところが、栃木からだと南に関東平野と東京があります。地上の光りの影響で、南の空が明るくて地平線に近い天の川の光が消されてしまってよく見えません。これに対して、秋の天の川は夏より淡いですが、西から天頂の少し北を通って北東の空に見えます。空の高いところを通っているので、地上の光りの影響を受けにくく、夏の天の川より秋の方が見やすい場合もあります。

夏は天の川を囲むように夏の大三角がありました。秋の天の川の近くに目立つ星はあるのでしょうか。
実は、秋でも西の空に夏の大三角はまだ見えています。夏の天の川の続きが秋に見えています。
秋の天の川の近くには、特に目立つ明るい星の並びはありませんが、天の川の中にカシオペア座があります。

3週前の放送で「秋の星座」の話をしました。古代エチオピア王家の物語の登場人物が秋の星座になっています。天の川に沿って西から順に、王様のケフェウス、お后のカシオペア、勇者ペルセウスの3つの星座が並んでいます。真ん中のカシオペア座が見つかれば、左側にケフェウス座、右側にペルセウス座を見つけられます。天の川からは南に外れますが、カシオペア座とペルセウス座の南側(上側)には、アンドロメダ座とペガスス座もあります。
名前だけは聞いたことのある星座が多いのではないでしょうか。


天の川を双眼鏡で見るとたくさんの星が見えます。そのなかでも、秋の天の川付近で双眼鏡での見所というと・・・
カシオペア座とペルセウス座のちょうど中間あたりに「二重星団」があります。
たくさんの星が一カ所に集まっているところがあって、それを「星団」といいます。天の川の中に、たまたま同じ大きさの2つの星団がくっついて並んでいます。天の川の中はただでさえ星がたくさんあるので、二重星団のあたりを双眼鏡で見ると星だらけです。
これ以外にも単独の星団があります。一番大きいのはペルセウス座α星付近です。特別な名前は付いていませんが、太陽系に近い所にある星団で、地球から見て近くにあるため、広がってまばらに見えます。双眼鏡で見るとたくさんの星の集まりが見えます。
同じペルセウス座にM34という星団があります。こちらも星団の中では大きい方ですが、双眼鏡で見ると小さくまとまった星の集まりとして見えます。
東の空に「すばる」も昇ってきています。これも地球に近い散開星団です。すばるは肉眼で見えます。狭い範囲に6個か7個の星が集まっています。これを双眼鏡で見ると、数十個の星が一カ所に集まっているのが見えて、とてもきれいです。

アンドロメダ座にアンドロメダ大星雲があります。太陽が含まれる銀河系(天の川銀河)の隣にある渦巻き銀河です。双眼鏡でよく見えます。
ケフェウス座にガーネットスターという赤い星があります。ほとんどの星は、白く見えて色がわかりづらいのですが、この星は明らかに赤く見えます。

双眼鏡をお持ちの方は、秋の天の川とその近くを覗いてみてください。

以前の双眼鏡の話とダブりますが、同じ写真を掲載します。



左 アンドロメダ大星雲

  太陽が含まれる銀河系の
  隣にある渦巻き銀河




右 ペルセウス座の二重星団

  ふたつの星団が並んでいる
  天の川の中なので星だらけ

 



左 ペルセウス座α星付近

  太陽系に近い所にある星団
  近くにあるので広がって
  まばらに見える




右 M45(すばる)

  日本名 すばる
  欧米名 プレアデス
 双眼鏡で見るととてもきれい
 



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