皆既日食

11月14日(水)に皆既日食があります。残念ながら、日本では見えません。オーストラリアの北海岸とその東側の海の上で皆既日食が起こります。オーストラリアのケアンズあたりで見られるので、日本からも大勢の人が日食観測ツアーに出かけます。

5月には日本で金環日食が見られました。レディオベリーでも、鹿島田さんのB-UPの中で日食を見ながらの放送をしました。聞いていただいた方もいらっしゃると思います。
どうして金環日食と皆既日食があるのでしょう。
日食というのは太陽の手前側に月が来て、月が太陽を隠すことですが、月も太陽も周期的に大きさが変わります。・・・と言っても、実際の大きさは変わりませんが、地球から見た時の見かけの大きさが変わります。
平均すると太陽と月の大きさはほとんど同じです。これはすごい偶然です。

太陽の周りを地球が公転していますが、正確に円を描いて回っているのではなく、わずかに楕円になっています。楕円なので、地球が太陽に近づくときもあれば遠ざかるときもあります。7月が遠くて1月が近い。7月の太陽は小さくて1月の太陽は大きい。ただ、わずかな差なので肉眼で見て分かる程ではありません。(放送では8月が遠くて2月が近いといっていましたが、正しくは7月と1月です)

一方、月は地球の周りを回っています。こちらも楕円軌道でその度合いは地球よりも大きい。月はけっこう、大きくなったり小さくなったりします。大きい時と小さい時の月を並べて見られれば、大きさが違うのがわかります。でも、並べてみられないので、ほとんど気がつかないと思います。下の写真は同じ光学系で写した小さいときと大きいときの満月です。このくらい大きさが変わります。


そういうわけで太陽も月も地球から見た時の大きさが変わります。
日食の時、太陽より月の方が大きければ、太陽が全部隠されて皆既日食になります。太陽より月の方が小さければ、月が太陽の内側に入って、月の周りから太陽の縁が見えます。これが金環日食。

金環日食                     皆既日食

金環日食の場合は、太陽の光が漏れているので、空はほとんど暗くなりませんが、皆既日食の時は太陽が全部隠れるので暗くなります。明るい星なら肉眼で見える暗さになります。
皆既日食の場合は、太陽の回りに「コロナ」が見えます。下の写真の白い模様です。コロナは太陽が全部隠れないと見えないので、金環日食では見えません。海外まで皆既日食を見に行く人は、このコロナが見たいために出かけていくようなものです。
 天体望遠鏡メーカーの昭和機械製作所 社長 渡辺和明氏 撮影&画像処理

太陽のすぐ近くのコロナはかなり明るく、遠ざかるにつれて暗くなります。人間の目は非常に優れた能力があって、明るいところから暗いところまで、この写真と同じかこれ以上に見えます。機会があったら是非双眼鏡で見てください。
肉眼で見るとたいへん美しいのですが、これを写真に写そうとしてもうまく撮れません。コロナの明るいところと暗いところの明るさの差が大きすぎて、明るいところに露出を合わせると暗いところが写りません。暗いところまで写そうとすると、明るいところが真っ白になってしまって、筋のような模様が写りません。
この写真は、1/8000秒から1/2秒までの多段階のシャッタースピードで写した複数の写真を重ね合わせて合成しています。それも、単純に重ね合わせただけではこうはなりません。重ねるに当たって、非常に高度な技術を使っています。
 
 



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