星からのメッセージ

星はとても遠いところにあるので、そこまで行って調べてくるわけにはいきません。星を調べるには、星から送られてくる情報を分析するしかありません。
星からくる情報というのは、もちろん、宇宙人が何かメッセージを送ってくると言う意味ではありません。物理的な現象として、天体からいろいろな電磁波が発生し、それが地球に届きます。これが星からのメッセージです。
そのひとつが光(可視光)です。私たちの目で見ることができ、それを調べるとその星がどんな星なのかが分かります。光以外にもX線や紫外線、赤外線、電波などいろいろな信号が出てきます。

たとえば、宇宙にはブラックホールという天体があります。すべてのものを吸い込んでしまい、吸い込まれたら二度と出てこられません。光や電波も吸い込まれてしまって、出てこられません。と言うことは、ブラックホールからは何もメッセージが来ないわけです。でも、見えないにもかかわらず、多数のブラックホールが発見されています。なぜ見つけられるのでしょう。
以前、連星の話をしました。ふたつの星がそれらの重心のまわりを回っている2個で1組の星です。連星の片方がブラックホールという場合があります。その場合、普通の星の方からブラックホールに向かって、表面にある物質が少しずつ吸い込まれていきます。吸い込まれようとしている物質が、吸い込まれる直前にX線を出します。吸い込まれる前なので、これは地球まで届きます。このX線を観測すると、そこにブラックホールがあることが分かります。X線というブラックホールからのメッセージです。吸い込まれていく星からの悲鳴とも言えます。


普通の星とブラックホールの連星(想像図)
左が普通の星で、右の一番中心にある黒い点がブラックホール
ブラックホールのまわりの白く光っているあたりからX線が出る

X線や紫外線は地球の大気に吸収されてしまうため、人工衛星を打ち上げて宇宙から観測しなければなりません。

ついでながら、もしX線が大気に吸収されなかったら、生物のDNAはX線によって破壊されてしまいます。これは事故を起こした原子炉から出る放射線で被曝するのと同じことです。地球型の生物は生きていけません。
紫外線(英語でultra-violet、略して UV )も大部分は大気に吸収されます。吸収されずにそのまま来たら、人間の皮膚表面の細胞が破壊されてしまい(ひどいやけどと同じ)、生きていくことはできません。わずかに吸収されずに来る紫外線で日焼けします。紫外線に当たると皮膚がんになるというのは、X線より弱いですが、同じように皮膚細胞のDNAを破壊するからです。


赤外線(英語でinfra-red 略して IR )として来るメッセージを調べると、これから新しい星の材料となる宇宙のチリの分布や新しい星になりつつあるチリのかたまりが見つけられます。
赤いところにチリがある。画面の右上から左下にかけて天の川があり、その中に多量のチリがあることがわかる。
特に明るいところは、チリが集まってすでに星が生まれている場所。 右の写真は可視光で写したオリオン座。


宇宙では絶えず新しい星が生まれてきたり、寿命が尽きて死んでいく星があります。太陽よりもはるかに大きな星が死ぬときは、最後に超新星爆発(英語で super-nova )を起こします。ある条件に該当する超新星爆発の結果、ブラックホールができます。宇宙には新しいブラックホールが次々に生まれています。長い年月が過ぎると宇宙はブラックホールだらけになってしまいます。

   * (正しい英語表記では、ultra-violet、infra-red、super-nov のハイフンは入りません)




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