光害

まずは、米国NOAAが提供する「宇宙から見た地球の夜景」より、日本の関東地方を中心にした画像をご覧ください。これは、突発的に現れる光を除いた、常に夜間に存在する光のみを表したものです。黄色の部分に夜間、毎日光を出すものがあるということです。

栃木県は地理的に南に関東平野が広がり、まっすぐ南には日本最大の都市、東京があります。栃木県から見て、南の方向に多くの人が住み、夜は多くの照明がともされています。その結果、南の夜空を見ると下の写真のようになります。下が東京方向です。
中央右側にオリオン座がわかるでしょうか。その下の方にもたくさんの星があるのですが、地上の光に消されてしまって明るい星しか見えません。

星を見るとき、人工の光はとても邪魔になります。そうは言っても、人々が生活していく上で、どうしても必要な光もあるので、すべて消せとはいえません。仕方ない部分はありますが、人間が使っている明かりが星を消してしまっていることも事実です。星に趣味を持つ人やそれを仕事にしている人たちは、天体観測の際にこの光が邪魔で困っています。この邪魔になる光を「光害(こうがい)」と呼んでいます。

「公害」は企業や一般の人々の努力によって無くなってきていますが、「光害」は増える一方です。
栃木県から見て、光害は南の空だけではなく、全天に及んでいます。栃木県内で天の川が見えるところは、ごくわずかしかありません。光害がなければ、県内のどこでも普通に天の川が見えるはずなのです。光害は東京方面だけのせいではなく、宇都宮市や小山市など大きな街をはじめとして、人が生活しているところすべて、光害の源になっています。

世界全体の夜の写真です。これが夜の地球です。

これを見て「きれい!」と言うのは間違っています。本来は真っ暗になるべきところに、これだけの光があるのです。エネルギーの無駄でもあるし、きれいな星空が消えてしまっています。アメリカの東半分と日本がひときわ明るく光っていますね。
これからの時代に生きる我々は、エネルギーを節約し、不要な照明を消して、どこからでも天の川が見られる夜空を取り戻す努力をしていきたいものです。




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