ベツレヘムの星


東京タワーの下に飾られたクリスマスツリーです。巨大ツリーで、とても華やかな装飾が付いています。この時期の観光&デートスポットですね。
ところで、ツリーのてっぺんに星があります。この星には名前が付いています。何と呼ぶか知ってますか?

この答えが「ベツレヘムの星」
キリスト教の信者さんなら常識ですが、日本人は、ただのツリーの飾りとしか思っていない人が多いようですね。
キリストが生まれたとき、この星が西の空に現れて、その誕生を知らせました。


ユダヤの東の国に3人の賢人がいました。彼らは西の空に誰も見たことのない星が現れたのを見て、ユダヤの国に新しい王が生まれたことを知りました。賢人たちは星に導かれてベツレヘムへの道を進んで行きました。星が止まった真下に、マリアという女性に抱かれた赤ん坊を見つけました。これがイエスです。

3人がイエスを見つけるまでには様々な物語がありますが、ここでは省略します。私はキリスト教徒ではないので、又聞きの話ですが、こういう話が聖書に載っているそうです。

クリスマスというのはキリストの誕生を祝うお祭りですから、誕生とともに現れたベツレヘムの星も大切な小道具です。
ところで、キリストの誕生日はいつでしょう。12月25日だとしても、何年?
一瞬考えて、西暦1年と答えるでしょうか。西暦0年はありません。
一般には、キリストが生まれた年を西暦元年(1年)と定めたと言われています。しかし、実は、キリストの生年月日は「不明」なんです。西暦1年でもなければ、12月25日でもないようです。


一方、ベツレヘムの星は本当に現れたのでしょうか?
参考までに、紀元1年12月25日20時の西の空を下に出しておきます。ステラナビゲーター画面です。それらしい星はありませんね。

ベツレヘムの星は、金星・火星・木星・土星という明るい惑星のうちの2つがたまたま重なって、より明るく見えたという説があります。それならば、ステラナビゲーターでシミュレーションすれば、日付が特定できます。でも、その前は離れていたし、時間がたてばまた離れます。これを「新しい星が現れた」とは言わないでしょうね。

紀元1年12月25日20時の西の空

では、そのときにだけ現れて、その後消えた星とすれば、超新星でしょうか。でも、そうだとすれば残骸が残ります。約1000年前に現れた超新星残骸がM1(カニ星雲)です。2000年前に現れた超新星残骸なら、必ずまだあります。でも、それらしきものは存在しません。
では、大彗星でしょうか。ハレー彗星のように何度も現れる楕円軌道の周期彗星ではなく、放物線軌道か双曲線軌道の1回しか現れない大彗星かもしれません。ベツレヘムの星は動いたような話になっています。動くとすれば彗星です。

来年、そういう明るくて1回しか現れない彗星が2つやってきます。2013年3月に「パンスターズ彗星」、2013年12月に「アイソン彗星」。
まず、3月中旬にパンスターズ彗星が西の空の低いところに見えます。肉眼で見えるかもしれません。
アイソン彗星は太陽のすぐ近くを通過するので、もしかすると太陽の熱で崩壊してしまうかもしれません。壊れずに太陽を回ってくれれば、歴史に残る巨大彗星になるかもしれません。満月よりも明るくなるという予想もあります。今、生きている人が見られる最大の彗星かもしれません。期待して待ちましょう。

アイソン彗星が見えるのは日の出前の東の空。もしかしたら、それが見える方にキリスト二世が生まれるかもしれませんね。

アストロガイド 星空年鑑 2013」より





戻 る