土星が衝


明日、4月29日に土星が「衝」(しょう)になります。
「衝」というのは、太陽-地球-土星 がほぼ一直線になる日です。土星以外の惑星でも同じ条件になる日を衝といいます。


衝の時は、土星は太陽の正反対側に見えます。太陽は昼の12時頃、真南に来ますが、その反対なので夜中の12時頃に土星が真南に来ます。
それと同時に、衝の時は地球と土星の距離が一番近くなります。ですから、土星が一番大きく見える日です。・・・といっても、この前後1ヶ月ぐらいは、見てわかるほどの大きさの差はないので、これから5月いっぱいぐらいが土星の見頃です。

現在の土星は下の写真の位置にあります。


夜10時過ぎぐらいに南の空を見ると、南東の空にてんびん座があり、それより東の低いところに明るくて赤い星、さそり座のアンタレスが見えます。てんびん座は暗い星しかなくて、見つけづらいので、まずアンタレスを見つけましょう。また、この写真には写っていませんが、土星の西側にはおとめ座があり、おとめ座の一番明るい星、スピカが同じくらいの明るさで土星の西側に光っています。
南の空にある明るい星は、東から順に アンタレス-土星-スピカ の3つです。アンタレス-土星間より、土星-スピカ間の方が近いです。

3月31日にもコズミックジャーニーで土星の話をしました。そのときに提示したのが下の写真です。


これは3月初旬に撮影した土星です。

4月29日の土星が下の図です。この放送日の翌日ですので、まだ写真はありません。ステラナビゲーター9で作成したシミュレーション画像です。
上の写真と違うところがあることにお気づきでしょうか?


影です。

上の写真は、土星本体の影が輪に映っています。本体右上の黒いところ。下の画像には影がありません。
実際には影はありますが、本体のちょうど後ろ側になっていて見えないのです。一番上の図をもう一度見てください。影は太陽の反対側にできるので、土星の影は地球から見えない側にできるのです。

5月中に土星を見られれば、輪に土星の影は映っていません。影は地球から見えないところにできています。夏休み頃にもう一度土星を見られれば、3月初旬の写真とは反対の本体左側に影が映っているはずです。

ところで、土星を見たいと思うけど、自分の望遠鏡はない、知り合いにも天体望遠鏡を持っている人はいない、そういう人はどうしたらいいでしょう。
一般の人が参加できる天体観測会を行っているところがあります。そういうところに行って見せてもらうのがいいでしょう。栃木県内で主なところは、

  ・県立わくわくグランディ科学ランド
  ・大田原市 ふれあいの丘「天文館」
  ・益子町  天体観測施設スペース250
  ・塩谷町  星ふる学校「くまの木」
こちらのホームページを見たり、直接問い合わせてみてください。


* 注意

天体望遠鏡で星を見ると、光学系の違いで
  ・上下左右が正しい向きに見える
  ・上下は正しいが左右が逆に見える(裏像、鏡に映った像)
  ・上下左右が逆に見える(180度回転している)
この3つの場合があります。ですから、天体望遠鏡で見た像に対しては、左とか右、上とか下とは表現しないで、東西南北で表現した方が誤解がなくなります。望遠鏡を静止させたとき、星が動いていく方が西です。
上記の説明の中で、右・左という記述がありますが、実際に覗いてみると逆に見える場合があります。









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