立山へ


これから夏に向かって、旅行の計画を立て始める方も多いと思います。旅行に行ったついでに、きれいな星が見られたらいいですね。そういう人におすすめの場所があります。富山県の立山。一般の人が気軽に行ける場所としては、星を見るのに一番条件のいいところだと思います。

立山黒部アルペンルートという観光地があります。長野県側から行くと、資材搬送用トンネルの中をトロリーバスに乗って行きます。中島みゆきの「地上の星」を歌いながら行くと、県境を超えて富山県に入り、たどり着くのが黒部ダム。多大な労力と犠牲を費やして完成した巨大ダムを見てください。そこからさらにケーブルカー、ロープウエイ、トロリーバスを乗り継いで標高2500mの室堂に行きます。


立山黒部アルペンルート オフィシャルガイドより

室堂には立派なホテルがあり、そこは日本一標高が高いところにあるホテルです。これだけ高いと空の青さが濃く(黒く)感じます。そこから見る景色は、スイスに行くと、きっとこうなんだろうなぁ、と思わせる雄大な山岳風景です。
室堂には、反対側の富山県側から入る方が簡単です。立山駅からケーブルカーで少し上がって、その後はバスで直通で行けます。途中の標高2000mのところに弥陀ヶ原(みだがはら)があり、ここにも立派なホテルがあります。どちらも都会の一流ホテル並みのサービスで快適に過ごせます。弥陀ヶ原と室堂に1泊ずつするのがお勧め。ここが快晴になったら、気軽に行ける場所としては、日本で最高の星空が見られます。


室堂から見る夏の天の川 (撮影 濱谷輝男氏)

そういうところに星の解説をしてくれる人がいたらいいですね。
それがいるんです。室堂と弥陀ヶ原のホテルでは、土曜日の夜だけですが、無料のスターウォッチングがあります。専門の講師が星の話をしてくれて、双眼鏡や天体望遠鏡で星を見せてくれます。弥陀ヶ原ホテルの講師は、この写真を撮った人で「富山天文学会会長」という肩書きを持っています。個人所有のとても高価でよく見える双眼鏡を貸してくれるし、わかりやすい話をしてくれるおもしろい人です。

行くとしたら時期的には、いつがいいでしょう?
梅雨時でも、6月はけっこう晴れるようです。6月なら空いているので、可能な人は今すぐ行くのがいいです。今なら室堂にある「雪の大谷」が見られます。道の両側に高い雪の壁ができており、その底から空を見上げます。


雪の大谷の底から見上げる夏の星空 (撮影 濱谷輝男氏)
これは5月なので雪の壁が一番高いときです。夏になるに従って低くなっていきます。

お盆の頃は大混雑で、予約が取れないでしょう。
星を見たいなら時期よりも月齢を気にしてください。満月の前後1週間は、月が明るくて星が見えません。旧暦が載っているこよみを見て、旧暦の8日から21日ぐらいはダメです。

それと天気だけはどうにもなりません。せっかく高いお金を払って行っても、全部曇りか雨という場合もあります。最悪は、全日雲の中に入ったままで景色が何も見えないこともあり得ます。立山は、それでもまた来ようと思って帰れる場所だと思います。何がいいのか、行ってみて体験してください。たとえば、弥陀ヶ原ホテルの普通に蛇口から出てくる水道水がとても美味しい。その水でいれたコーヒーも美味しい。

高原の快適なホテルに泊まって、雄大な景色を眺め、さわやかな空気を吸い、美味しい料理を食べ美味しい水を飲み、満天の星を見る。
これって最高のリフレッシュになることでしょう。

 







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