アイソン彗星消滅!


話題のアイソン彗星が消滅してしまいました!

アイソン彗星は、普通の彗星に較べて、群を抜いて太陽のすぐ近くまで行く軌道を描いていました。100万度以上といわれる太陽コロナの中に入ります。
彗星本体は、雪だるまのようなサクサクした氷でできていると考えられています。それが100万度以上の超高温の炉の中に1日以上入るわけですから、すべて蒸発してしまっても全くおかしくありません。最初からそれはわかっていたのですが、天文学者をはじめ、星に詳しい人たちは、だれも悲観的な話をしませんでした。私も先週の放送で、そういう可能性があるということはお話ししましたが、本当に消滅するとは考えていませんでした。
これまでも太陽に非常に近づく彗星は多数ありましたが、太陽の熱に耐えて帰ってきてくれるものが多くありました。アイソン彗星は、これまでの同様な彗星に較べてかなり大きかったので、きっと解けずに帰ってきてくれるだろうと、希望的観測を含めてみんなが思っていました。でも、現実はそう甘くはなかったですね。

太陽に近づきつつあった頃のアイソン彗星


なぜ、地球からアイソン彗星が見えるようになる時期になる前に消滅してしまったことがわかったのでしょう?
地球の周りを太陽観測用の人工衛星が回っています。その衛星からコロナの観測ができます。コロナの中に入った彗星も見えます。その衛星から、コロナに入っていくアイソン彗星の姿は見えていたのですが、太陽の向こう側を回った後、出てくるはずの時刻に出てこなかったのです。正確に言えば、太陽の向こう側から出てくる非常に小さくなったアイソン彗星は確認されたのですが、それもすぐ消えてしまいました。

上の写真のように、太陽に近づきつつあるときのアイソン彗星は、しっかりした尾をたなびかせていました。このまま太陽を回ってくれれば、かなり長い尾が肉眼でも見えることが期待されていました。とても残念です。アイソン彗星が消えてしまったことで、私たちは「残念だった」で済みますが、被害を受けた業界がいろいろあります。双眼鏡屋さん、空から彗星を見るツアーを組んでいた航空会社、特番を組んでいた放送局 ・ ・ ・

今年は彗星の年といわれていたのに、春のパンスターズ彗星はあまり明るくならず、アイソン彗星は消滅してしまうという最悪の結果でした。でも、彗星というのはいつ現れるか、全く予想ができません。ですから、「彗星のように現れる」という言葉があるのです。近い将来、巨大彗星が現れてくれることを期待しましょう。








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