天体望遠鏡


ななつがたけ北天文台には、天体望遠鏡(の筒の部分)がたくさんあります。一番小さいものはレンズの直径が5cm、一番大きいものは反射望遠鏡で、反射鏡の直径が45cmあります。これは筒の中に、スマートな人なら二人一緒に入れる大きさです。天体望遠鏡って、見た目、小さいものから大きいものまでいろいろありますが、みなさんは大きければ大きいほどよく見えると思いますよね? 大きいのがひとつあれば、小さいのは必要ないのでは?

原則的にはそうではあるのですけど、見る対象によってはちょうどいい大きさがあります。小さい望遠鏡でも大型望遠鏡よりよく見える天体があります。
たとえば、はくちょう座にアルビレオという色のきれいな二重星があります。青い星とオレンジの星がすぐそばにくっついて見えます。これが一番きれいに見えるのは、ななつがたけ北天文台にある一番小さい望遠鏡です。直径5cmのレンズが付いたもの。明るい二重星や月を見るなら、それが一番よく見えます。
一番大きな45cm望遠鏡で月を見たら、光が集まりすぎてまぶしくて目がくらみます。月を見るには、レンズの直径が8cm以下ぐらいでいいでしょう。



それともうひとつ、望遠鏡は大きければいいというものではない理由があります。
それは、空気の流れです。
望遠鏡で倍率を上げると、見ている天体の手前にある地球の空気が揺れているのが見えます。川の流れを通して川底を見ている感じで、かなり揺れます。空気はいつも同じように揺れているわけではなく、その日の気象状態によって大きく違います。空気の揺れは、望遠鏡のレンズや鏡の直径が大きいほど大きく影響を受けます。揺れの少ない日は大きい望遠鏡で見れば細かいところまでよく見えますが、揺れの大きい日は、天体がぼけてしまって、小さな望遠鏡の方がよく見えることもあります。大きい天体望遠鏡を買っても、いつでもよく見えるわけではないのです。

今年の4月、火星が地球に接近します。とはいっても、元々が小さな天体ですから、大型望遠鏡で見ないとよく見えません。小さな天体や暗い天体を詳しく見たい場合は、望遠鏡は大きければ大きいほどよく見えます。でも、空気の状態が安定していなければいけません。実は、日本は(特に関東地方は)、空気の揺れが大きい場所にあります。大きい望遠鏡で見ているのによく見えないのは、その望遠鏡の性能が悪いわけではなくて、空の方が悪いからという場合が多いのです。たとえば、こども総合科学館にある75cm反射望遠鏡の性能が100%近く発揮できる日は、1年間に数日程度しかないと思います。
そうは言っても、大きい望遠鏡で見ると、それなりによく見えます。近くの天文台などで観測会があるときは見に行ってみてください。








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