火星と土星


4月9日に火星が「衝(しょう)」になります。衝というのは、下の図のように 太陽 - 地球 - 火星 が、この順に一直線上に並ぶことです。火星以外の惑星でもこういう位置関係になった時を「衝」といいます。
普通は衝の時が、地球と当該惑星との距離が最も近くなります。でも、火星は軌道の楕円の度合いが大きいので、必ずしも衝の時が一番近くはありません。
下の図をご覧ください。実際には、火星軌道はこんなに楕円ではありません。もっと円に近いですが、わかりやすいように誇張して描きました。この図が4月9日の状態です。地球と火星は矢印の方向に公転しています。双方がもう少し先に行った方が、距離は近くなりますね。でも、地球の方が公転速度が速いので、地球が先に行ってしまいます。そういう関係の中で、今回、距離が最も近くなるのは4月14日です。もっとも、9日と14日を較べて、目で見て大きさが違うとか明るさが違うというほどの差はありません。
この図を見てわかると思いますが、地球と火星が図の左側で衝になるときが、地球と火星の距離が最も近くなります。そうなる時を「大接近」と言います。図の右側で衝になると「小接近」です。今年はその中間なので、「中接近」です。



また、今の時期は火星に続いて土星が昇ってきます。火星はおとめ座の中にいますが、土星はその東隣のてんびん座にいます。一般の方が天体望遠鏡で覗いた場合、火星よりも土星の方が見たときの感動が大きいと思います。
火星は地球に近づいたといっても元が小さな天体ですから、さほど大きくは見えません。赤くぼんやりした中にうっすら模様らしきものが見えるという程度です。でも、土星は小型の天体望遠鏡で見ても立派な輪が見えます。条件が良ければ、土星本体に縞模様があるのが見えます。天文台で開催する火星の観望会に行けば、土星も見せてもらえると思います。土星も一緒に楽しんでください。
前回の火星の項目で書きましたが、地球の空気の影響で火星や土星がゆらゆら揺れて見えたり、ぼけたりします。天体望遠鏡を覗くときは、しばらく覗いていると揺れが収まる瞬間がありますから、遠慮なくじっと覗いてください。








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