おとめ座


昼間の春の空って、晴れていてもどんよりして霞がかかったような日が多いですよね。夜になってもそのままですから、冬のような星の輝きがありません。空気の透明感がないからか、見える星の数も少ないように感じますよね。確かに空気の透明度が悪いと見える星の数が少なくなりますが、春の星座は実際に星が少ないのです。星があるのに見えないのではなくて、春は星そのものが少ないのです。
太陽も地球も天の川銀河という渦を巻いた星の大集団の中にあります。その中から地球の周りを見たとき、星がたくさんある方向と少ない方向があります。春は星の少ない方向を見ているのです。天の川も見えません。

そんな中で、この時期はおとめ座が見やすい位置にあります。おとめ座生まれは主に9月ですが、9月におとめ座は見えません。太陽の向こう側にいってしまいます。5ヶ月ぐらい前のこの時期が一番見やすい位置にあります。夕方の東の空に昇っていて、夜中の0時には真南を超えます。夜ならいつでも見られるわけです。おとめ座以外の星座も同じで、誕生日の星座は誕生日の5ヶ月前ぐらいに、一晩中いつでも見られる位置にあります。



今の時期の20時ぐらいだと、しし座が南中していて、その東側におとめ座があります。
おとめ座は左手に麦の穂を持った農業の女神の星座。一番明るい星、スピカのところが麦の穂です。麦の穂って、先がとがっていますよね。スピカというのはとがったものという意味、スパイクと同じ語源です。

天体アプリでおとめ座を拡大していくと、系外銀河と呼ばれる星雲がたくさんあります。実際はどの方向にも同じくらいの系外銀河があるのですが、春以外の季節は、天の川銀河内にある星やチリなどに隠されてしまって見えないのです。系外銀河を見るには、春が一番いいわけです。天の川銀河の中から遠くを見るとき、一番障害物の少ないのがおとめ座やとなりのかみのけ座の方向です。
ただ系外銀河は、すべてが遙か彼方にあるので小さく暗くしか見えません。見るには大きな天体望遠鏡が必要です。大きな天体望遠鏡を覗く機会があったら、見てみたい天体です。








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