秋の星座


今日は8月31日、8月も最後の日になりました。明日から9月、もう秋ですね。
今日は、これから見頃になってくる秋の星座のお話をします。

秋の星座というと、これから見えてくる星座ということで、今はまだ見えないような気がしませんか?
秋の星座と言った場合、秋の夜9時頃に見やすい位置に来る星座という意味で、今はもっと遅い時刻に見えています。今だと夜中の1時ぐらいには、全部見えるようになります。遅い時間に見れば、今でも秋の星座が見られるわけです。遅くまで起きていて夜空を眺めれば、季節を先取りできるわけです。

秋の星座というと、どんな星座があるのでしょう?
答えとして、何座があるという前に、秋の星座にはほかの季節とは違う特徴があります。秋以外の季節に見える星座は、ひとつひとつの星座、それぞれに独立した星座の物語があります。でも、秋の星座の多くは、ひとつの物語に出てくる登場人物になっています。秋の夜は、いくつかの星座をたどりながら、ひとつの物語ができあがるわけです。
物語というのは、古代エチオピア王家のお話です。登場人物は
  エチオピアの王様ケフェウス     ケフェウスのお后カシオペア
  娘のアンドロメダ
  勇者ペルセウス             翼を持った馬ペガサス
  それと、人々を苦しめる くじらの化け物

それぞれが星座になっていて、6つの星座に関わる物語です。その物語をご紹介しましょう。



古代エチオピアにケフェウスという王様がいました。ケフェウスはとても立派な王様で、国民は皆幸せに暮らしていました。ケフェウスのお妃カシオペアは、大変美しい女性でしたが、その美しさを鼻にかけ、少々高慢なところがありました。ケフェウスとカシオペアの間には、アンドロメダという美しいお姫様がいました。カシオペヤは娘の美しさが誇らしく思い、ことあるごとに自慢していました。そしてあるとき、ついこんなことを言ってしまったのです。

「アンドロメダの美しさには、あのネレイドたちも足元にも及ばない。」

ネレイドとは海の神ポセイドンに遣える妖精で、ポセイドンの孫娘に当たります。しかも、この妖精たちもまた、相当な美貌自慢でしたからカシオペアの言葉は聞き捨てなりません。ネレイドたちはかんかんに怒って、ポセイドンに泣きつきました。かわいい孫たちを人間に馬鹿にされては、ポセイドンも穏やかではありません。カシオペアを懲らしめようと、恐ろしい化けくじらをエチオピアの海岸に差し向けました。

エチオピアの海岸に、日々化けくじらが姿をあらわすようになりました。津波を起こしては農作物を押し流し、海岸では家畜や人々に襲い掛かり、エチオピアの国は大混乱です。困り果てたケフェウスは、神様にお伺いを立てました。神様からの答えは、ポセイドンの怒りを静めるためには、アンドロメダを化けくじらの生贄に捧げよ、というものでした。

可愛い娘を生贄に差し出すことは、ケフェウスには何よりも辛いことでしたが、ケフェウスは、国を守るため、泣く泣くアンドロメダを海岸の岩に縛り付けました。アンドロメダ姫が一人海岸で震えてると、海がにわかに波立ち始めました。ついに、化けくじらが姿をあらわしたのです。恐ろしい怪物はアンドロメダに近づいてきました。
そのときです。天馬ペガススに乗った一人の若者が空から舞い降りてきました。勇者ペルセウスです。ペルセウスは魔女メデューサを退治して、その首を袋に入れて持ち、故郷へ帰る途中でした。偶然通りかかったエチオピアで、岩に縛られたアンドロメダを見かけたのです。
ペルセウスは化けくじらの前に舞い降りると、すかさずメデューサの首を突きつけました。メデューサは、その顔を見たものはすべて石になってしまうという恐ろしい怪物です。これには化けくじらもひとたまりもありません。たちまち石になり、海の底へと沈んでいきました。

こうしてアンドロメダを無事助け出したペルセウスは、アンドロメダとともにケフェウスの元へ帰りました。その後、ペルセウスの父ゼウスがポセイドンの怒りを鎮めてくれました。ペルセウスはアンドロメダ姫と結婚し、エチオピアの王となり二人は幸せに暮らしました。


(注)
以上は元々のギリシャ神話に日本人が多少のアレンジを加えたお話です。
元の話はこれに比べるとあまり美しくありません。興味のある方はギリシャ神話をそのまま日本語訳したものを読んでみてください。
日本のプラネタリウムで語られるギリシャ神話は、本来のギリシャ神話ではありません。元々のギリシャ神話は、星空に夢を持つ少年少女に語るには、あまりにもひどい話なので、日本人が美しい話に書き換えました。
日本人が作ったギリシャ神話と原本を読み比べると、きっと「日本人ってすごい!」と思いますよ。








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