いっかくじゅう座


今は寒いですけど、夜、外に出ると南の空に冬の大三角が輝いています。今日(2015.2.8)の21時頃だと、ほとんど真南に見えます。下がとがった正三角形。一番下にあるのが一番明るい星で、おおいぬ座のシリウスです。左上にあるのが、こいぬ座のプロキオン。そして、右上がオリオン座のベテルギウス。



ベテルギウスは赤い星で、以前にも出てきましたが、星としての寿命が尽きかけている星です。近いうちに超新星爆発といって、星全体が吹き飛ぶ大爆発を起こします。ものすごく明るく輝いた後、消えていきます。近いうちといっても、けっこう幅があって、明後日かもしれないし、1万年後かもしれません。宇宙の中では、1万年というのはほんの一瞬に近い時間なのです。
ここで、「明後日かもしれない」と書きました。「明日かもしれない」ではありません。明日、超新星爆発が起こらないことはわかっているからです。どういうことかというと、光で超新星が見える一日前に、ニュートリノが飛んできます。その理由は省略しますが、ベテルギウスからやって来たニュートリノが、スーパーカミオカンデ(*注)で検出されます。そして、「明日、ベテルギウスが超新星爆発する」と発表されます。その発表が無い限り、明日もベテルギウスは普通に光っています。
    (*注) 岐阜県飛騨市神岡町にあるニュートリノ検出装置。小柴博士がノーベル賞をもらった研究に使用した施設



話は戻って、冬の大三角。冬の夜空には、明るい星がたくさんありますけど、冬の大三角の内側にはあまり明るい星がありません。だから3つの星がつくる三角形が目立つわけですが、冬の大三角の内側にも星座があります。いっかくじゅう座という星座。いっかくじゅうというのは、伝説上の生き物のユニコーンのこと。明るい星がないので、あまり知られていない星座です。上の図を見て、星座の絵と星を線で結んだ形が、全然一致していませんね。
天文学的には、星座の星の結び方や星座絵は決まっていません。星座の境目はきっちり決まっていますが、その中にある星をどうつなぐかは自由なのです。星座の画も、自分で考えて、一番もっともらしい絵を描いていいのです。日本では、藤井旭さんの絵か、プラネタリウム用の映像作品を創っている(株)リブラが描いた絵が標準的に使われています。

いっかくじゅう座は、冬の天の川の中にあります。明るい星はありませんが、その方向に双眼鏡を向けるとたくさんの星が見えます。星雲や星団もたくさんあります。中でも有名なのが、バラ星雲。これは望遠鏡を使っても、肉眼では見えません。でも、写真に写すと、赤いバラの花を正面から見たような形で、とてもきれいです。

このバラ星雲が肉眼で見えないのは残念ですが、冬の大三角の内側を探すとユニコーンが見つかるわけです。みなさんも探してみてください。


バラ星雲







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