土星


今日は輪のある惑星、土星の話です。
観望会などで、天体望遠鏡で土星を見ると、みなさん感激してくれます。初めて天体望遠鏡を覗く人に一番受けがいいのが土星です。
実は、大きな惑星に輪があるのは普通のことで、輪がある天体が特別なわけではありません。太陽系の惑星では、木星、土星、天王星、海王星に環があります。でも、土星以外の惑星の輪は細くて淡いので、肉眼で見ることはできません。土星の輪が特別に広くて濃く見えるのです。

今週末の23日、土曜日ですが、土星が衝になります。「衝」というのがどういうことか、以前にもお話しましたが、もう一度説明します。
土星の衝というのは、太陽-地球-土星という順番で、3つの天体がほぼ一直線に並ぶときを言います。衝のとき、地球と土星の距離が一番近いわけです。ということは、衝のとき、土星が一番大きく見えるということです。でも、地球と土星の距離はかなり遠いので、近いときと遠いときとの差は、あまり大きくありません。土星の場合、衝だからといって、特別大きく見えるわけではありません。
火星のように地球の近くを回っている惑星は、衝のときに特別に大きく見えます。でも土星の場合、大きく見えることには間違いありませんが、あと2・3ヶ月後でも、たいした違いはありません。逆に言えば、これから2・3ヶ月が土星の見頃ということです。



今夜(5月17日)の土星は、21時ごろ、南東の空にあります。てんびん座とさそり座の間あたりです。空の低いところにあります。時間が進んでいって、0時ぐらいに南中しますが、それでも35度ぐらいの高さにしかなりません。今年の土星は低いのです。
天体が見える高さが低いと問題があります。低いところにある天体から来る光は、厚い空気の層を通過してきます。空気というのは常に揺れているので、通過する空気の層が厚いほど、土星がゆらゆら揺れて見えます。今年の土星は、観察するときの条件が悪いわけです。真上に近いところに来るときが、空気の影響が最小になります。
今年の土星は、条件としては悪いですが、土星は多少揺れても輪が見えます。丸い本体と輪が見えれば、一般の人には満足してもらえると思います。


小さい望遠鏡で見た土星はこんな感じ



撮影 : 内藤峰夫氏

天文台の大きな天体望遠鏡で見るとこんな風に見えます


これから、公共天文台でも土星の観測会が行われると思います。みなさんもそういう情報を集めて、見に行ってみてください







戻 る