冥王星


惑星から「準惑星」という扱いになった冥王星ですが、7月6日に衝になります。「衝」というのは、太陽-地球-冥王星の順でほぼ直線上に並ぶ日です。衝のときが一番明るく見えるのですが、冥王星は元々がとても暗いので、空の状態が最高でも、肉眼で見るためには口径30cmの望遠鏡が必要です。実際には、口径50cmぐらいないと見えないと思います。一般の人が自分の目で見るのは無理です。

目で見るのは無理なので、冥王星について別なお話をします。
アメリカが打ち上げた惑星探査機に、「ニューホライズンズ」というのがあります。今週末あたりに冥王星に接近して、史上初めて、冥王星探査を行う予定です。人間が作った探査機が、冥王星の近くに行くのはこれが初めてです。
かつて冥王星は、太陽系の最も外側の惑星とされていましたが、2006年8月、国際会議で準惑星になりました。アメリカがニューホライズンズを打ち上げたのは、それと同じ年の1月でした。ということは、打ち上げたときはまだ、冥王星は太陽系の第9惑星だったわけです。ニューホライズンズの目的は、太陽系の一番外側にある惑星の探査だったのです。冥王星が最初から惑星ではなかったら、冥王星に向かわなかったかもしれませんね。

下の写真は、ハッブル宇宙望遠鏡で撮った冥王星です。まだらな模様があるようです。自転によって、模様の位置が変わっています。ニューホライズンズが鮮明な写真を送ってくれることを期待しましょう。



ちょっと話はそれますが、原子力でよく聞く物質の名前にウランというのがあります。原子炉の中でエネルギーを出す物質がウラン、正式にはウラニウムと言います。もうひとつ、たまに名前が出てくる物質にプルトニウムというのがあります。これは原子炉の中でできてしまう物質で、やっかいなものです。放射線を出すし、それ自体毒性があるし、原爆の材料にも使われます。
ウラニウムの原子番号は92、プルトニウムは94です。間に93があるわけで、それがネプツニウムという物質です。ウラニウム、ネプツニウム、プルトニウムという順になります。そして、天王星の学名はウラノス、海王星はネプチューン、冥王星はプルートです。名前が似てますね。この3つの元素は、太陽系の外側の惑星の名前からとられました。そのときも、冥王星が惑星だったからそうしたのでしょう。



冥王星の豆知識をもうひとつ。
冥王星がどれほど遠くにあるかという物差しとして、ニューホライズンズが出した電波が、冥王星から地球に届くのに、どれくらい時間がかかるか、ということがあります。電波の速さと光の速さは同じです。たとえば、太陽の光が地球に届くまでに8分ちょっとかかります。では、冥王星から地球だと、どれくらいの時間がかかるでしょう?
答えは、約5時間です。冥王星って、そんな遠くにある星なのです。









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