はやぶさ2とあかつき


去年の12月、日本の惑星探査機が話題になりました。1ヶ月ちょっと前ですが、もう去年の話です。
まず、「はやぶさ2」が地球スイングバイに成功しました。続いて金星探査機の「あかつき」が、発射から5年を経て金星周回軌道に入りました。

はやぶさ2の地球スイングバイというのは、どういうことをしたのでしょう?
はやぶさ2は去年の11月まで、地球の少し外側を地球とほぼ同じ速さで太陽の周りを回っていました。11月下旬に軌道を変えて、後ろから地球に近づいてくる形になりました。そうすると、はやぶさ2は地球の引力に引っ張られて、加速すると同時に軌道が曲がります。曲がった先に目指す天体の「ryugu」があるわけです。
地球は太陽の周りを回っているわけですが、その速さはどのくらいなのでしょう?
時速10万km、秒速にすると約30kmです。秒速30kmというのは、宇都宮から東京まで、3.2秒で行ける速さです。地球はそんな速さで太陽の周りを回っています。はやぶさ2は、この地球の公転に引っ張られてさらに加速します。そして、はやぶさ2は地球のすぐ横をすり抜けていきました。地球の重力と公転エネルギーを受けて加速したうえ、「ryugu」に向かう軌道に変わったわけです。燃料を使わずに、一石二鳥みたいなすごいことをしたのです。これを行うには非常に高い飛行精度が必要で、JAXAとNECの技術のたまものです。はやぶさ2を作ったのがNECで、その後のはやぶさ2の飛行にも深く関わっています。


「HAYABUSA2 RETURN TO THE UNIVERSE」ポスターより


一方、あかつきも無事に金星周回軌道に入りました。今回は成功しましたが、5年前に一度失敗しています。本来は5年前に金星周回軌道に入っていたはずですが、そのときはメインエンジンが壊れてしまって、金星を通り越してしまいました。普通ならそこで、「失敗しました、ごめんなさい。」と謝って終わるところなのですが、JAXAもNECも諦めませんでした。あかつきもNECの製品です。
もう一度チャンスはないかと一生懸命、軌道を計算しました。そして、2回目で最後でもあるチャンスが、5年後にあることを見つけました。去年の12月、そのチャンスを見事に成功させました。この成功の裏には、多額の税金を使っているミッションなので、あかつきを宇宙のゴミにしてしまうことは出来ないという責任感と、どうしても金星を調べたいという、科学者の情熱があったのでしょう。
あかつきは4月から本格的に観測データを送ってきます。これは金星についての情報にとどまらず、地球の未来に関わる研究資料にもなります。
はやぶさ2もあかつきも、頑張ってもらいたいですね。みんなで応援しましょう。


あかつきが金星周回軌道に入るときの逆噴射の想像図 JAXA HPより







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