カノープス


先週の木曜日(2016.02.04)が立春でした。前回の話にもありましたが、立春前後の今が1年中で一番寒い時期です。特に夜はすごく寒くなりますが、私は見たい天体があって、良く晴れた夜なら外に出て星を見ています。そのために、-15度くらいまでなら堪えられる防寒具を持っています。この時期にある程度の時間外に出て、星を見るにはそのくらいの装備が必要です。

そういう寒い時期ですが、星に興味がある人は、今、見ておいたほうがいい天体があります。では、それに関係する話です。
太陽を除いて、全天で一番明るい恒星はシリウスです。では、2番目に明るい恒星はなんでしょう?
答えはカノープス。りゅうこつ座の一番明るい星です。りゅうこつというのは、恐竜の骨と書きますが、恐竜の骨そのものを指すのではなくて、船の底の中心を、前から後ろまで通っている構造材を竜骨といいます。英語ではキールです。白紙撤回になった新国立競技場のキールアーチのキールですね。ザハさんのキールアーチは、船とは上下逆に使っています。
そういう意味のりゅうこつ座ですが、りゅうこつ座という星座名も、カノープスという星の名前も、知らない人が多いと思います。どうしてかというと、日本からはほとんど見えないからです。
そのカノープスが今の時期に見えます。・・・と言っても、栃木県から見ると、南の地平線ギリギリのところにちらっと見える程度です。南中高度は1.3度。1.3度というのは、満月を縦に2個半積み重ねた高さです。でも、それだけあるとけっこう見えます。ただ、地上の光と間違えやすいです。私も遠くにある低い山の頂上にあった光を、カノープスだと思ってしまったことがありました。でも、地上の光は動きませんが、星は動くので、しばらく見ているとわかります。


写真は150mm望遠レンズで撮影


栃木県から見える一番低いところにある1等星です。太陽もそうですが、地平線近くに行くと赤く見えます。カノープスも同じ理由で赤く見えることから、中国の伝説では寿老人の星とか、南極老人星と言われています。そのため、この星を見た人は長生きするという伝説もあります。
今頃だと21時の南の地平線近くに見えます。真南の地平線スレスレです。場所的にはおおいぬ座の下になります。21時頃が地平線からの高さが一番高くなります。
たった1個の星ですが、めったに見られない星なので、もし見られたら思い出に残ると思います。

みなさんも、南が開けた場所で探してみてください。カノープスを見て長生きしましょう。









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