春の星空


だんだん暖かくなって、春らしくなってきました。星空も春の星座が見えるようになりました。今日は、春の星座についてのお話です。

春の星空は、他の時期にはない特徴があります。
他の季節とは違う何かが見えるのでしょうか?
いいえ、反対で、見えないんです。
何が見えないのか?

夜空には、天の川があります。どの季節でも、空のどこかに天の川が見えて、時期によって濃い薄いはありますが、全く見えないということはほとんどありません。ところが春は、天の川が空のどこにも見えない時間帯があるのです。
今日(2016.3.27)の0時前後、夜空のどこを見ても天の川が見えません。今夜0時の夜空は下の図の通りです。




南を向いて上を見上げると、しし座やおとめ座など、春の代表的な星座があります。しかし、地平線をぐるっと一周して空全体を見ても天の川はありません。正確に言うと、北の地平線近くに少しだけ見えるはずなのですが、地平線の近くは地上の光の影響で明るくて見えません。春は夜空に天の川がない時間帯というのがあるのです。
もっとも街中では、夜空が明るくなってしまったので、一年中、天の川が見えないですけどね。残念ながら、天の川が見えないのが普通になってしまいました。

天の川に近い場所の方が星の数が多くあります。そのため、天の川がなくなる春は、夜空に見える星の数も少なくなります。春というのは、天の川が見えなくて星の数も少ない、寂しい夜空なのです。でもその分、宇宙空間に広がっている、ガスやチリが少ない方向を見ているので、宇宙の遥か彼方まで見通すことができます。



上の図は、iPhoneアプリの「Sky Safari Pro」で、おとめ座とかみのけ座の方を見たものです。マークと記号がいっぱいありますね。これは系外銀河と呼ばれる星雲です。太陽や地球がある天の川銀河とは違う、別の銀河がたくさん見えます。そのあたりをさらに拡大したものが下の図です。





すごい数の銀河があります。
これらは宇宙の遥か彼方にある天体で、宇宙の覗き窓のように、この方向にだけ見えています。春は星が少なくて寂しいですけど、宇宙の遥か彼方を見られる季節でもあるわけです。
このたくさんある銀河は、天体望遠鏡で見えるのでしょうか?
拡大してない上の画面にある、明るいものだけならだいたい見えますが、暗い無数にある銀河は全く見えません。

宇宙の遥か彼方を覗いてみたいですが、小型の望遠鏡では無理なのです。Sky Safari画面を拡大して、宇宙の奥まで行った気分になってください。


M106,NGC4217 他







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