天の川を見るには


現在の日本では、夜空に天の川が見えないことが普通になってしまいました。子供たちはもちろん、その親たちでさえ、天の川を見たことがないという人が多くなりました。でも、天の川が見えるところもあります。ふだんは見えなくても、天気によっては見えることもあります。天の川はどういう天気の日に、どこに行くと見られるのでしょう。

宇都宮市のような、それぞれの県の中心都市の中心部付近では、どういう条件でも天の川は見えません。それに対して私の自宅は、 地方の人口16万人の市の中心から、10kmぐらい離れたところにあります。ここではまれに、はくちょう座から南の空のいて座までの天の川が見えることがあります。真上にあるはくちょう座のあたりの天の川だけなら、よく晴れて月のない日ならたいてい見えます。でも、うっすらなので、よく見ないと天の川なのかどうかわかりません。真上だけではなくて、地平線に近いところの天の川まで見えるのは年に数回です。

年に数回というのは、どういう条件が揃ったときでしょう?
  1.よく晴れて空気の透明度が高い
  2.月がない
  3.天の川が真上を通って、地平線に対して直角に近い角度で立っている
  4.夜中の0時以降に見る

それ以外に、天の川を見る場所が
  5.街の中心部からある程度の距離がある
    (人口15万人なら10km以上、50万なら30km以上、100万なら100km以上)
    この条件を惜しいところで満たさなくても、大きな街がある方向に光を遮る山があれば大丈夫
  6.100m以上の標高がある

4.の夜中の0時過ぎに見るというのは、0時を過ぎると、街の明かりが消えて空が暗くなります。私が自宅で、いて座の天の川が見えたのは、夜中の2時頃でした。これだけの条件が揃う日と場所ならば、天の川がある程度の濃さで、それらしく見えます。自宅が全く条件に合わなければ、近いところでそういう場所を探してに出かけてみてください。

これらの中で、「よく晴れて空気の透明度が高い」というのは厳しい条件です。昼間だったら、青空が濃い青でないといけません。夏の晴れは、青空が白っぽい場合が多いし、真上は青くても、下の方に行くと白っぽくなってきます。東京より北の関東地方では、富士山が見えるというのが目安になります。
冬の季節風が強い日は、地平線近くまできれいな青空になるのですが、夏にそういう日はめったにありません。さらに、北関東の夏は、昼間晴れていても夜になると曇ります。


さそり座・いて座の天の川
福島県南会津町、ななつがたけ北天文台付近で撮影


天の川が真上を通るのがいつ頃かは、星座早見盤やiPhoneアプリのiステラなどで見ればわかります。iステラなどの星座アプリを起動したときは、今現在の空が表示されますが、時刻を指定する方法や、時刻を連続して動かす方法を覚えてもらえば便利に使えます。

これらの条件を踏まえて、今年の夏、天の川を見に出かけてはいかがでしょうか。








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