土星


今回は人気の惑星、土星の話です。
輪のある惑星ですね。観望会で土星を見せると、初めて土星を見た人のほとんどが感嘆の声をあげます。今、その土星が夜9時頃、南中しています。南の空のあまり高くない位置にあります。



土星に限りませんが、夏に見える惑星は、かなり低い位置にあります。惑星は空にある黄道という線の近くを動きますが、夏の黄道は低い位置にあります。低い位置にあれば、あまり首を曲げて見上げなくても見られますが、低い位置だと、惑星からくる光が厚い大気の層を通り抜けてくることになります。空気は常に動いているので、惑星がゆらゆら揺れてしまって見にくくなります。肉眼で見るには見やすいですが、望遠鏡で見るときには、条件としては良くないわけです。逆に、冬に見える惑星は高いところにあって、大気の影響は少ないはずなのですが、冬は風が強いので、やはり、きれいに見えません。
一番いいのは春です。日本の春は大気が安定していることが多くて、惑星の高さもほどほどあるので、観測には一番いい時期です。惑星はいつでも同じように見えるわけではないのです。さらに、日本列島の本州の上をジェット気流が流れていて、日本は惑星観測には適していない場所です。日本の中でも、関東から東北南部あたりが、ジェット気流の通り道で最低です。栃木県民は、惑星を見るのに、一番良くないところに住んでいるわけです。九州の方なら風が弱いので、惑星がきれいに見えるようです。もっと南の沖縄が日本では一番いいです。


土星 (撮影:内藤峰夫さん)


栃木県から見て、土星の輪が見えるのか心配になりますね。でも、それは大丈夫です。土星の輪はかなり大きいので、小型の天体望遠鏡でもよく見えます。天文台にあるような大きい天体望遠鏡だと、空気の流れの影響を受けやすいのですが、小型の望遠鏡の方が影響を受けにくくて安定して見えます。

天体初心者が望遠鏡を覗いたとき、一番感動するのは、月のクレーターと土星の輪だと思います。ぜひ、多くのみなさまに見ていただきたいと思います。まだ自分の目で見たことがない人は、どこかで天体観望会をやってますから、情報を集めて見に行ってみてください。








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