エチオピア王家の物語


秋の夜空に見える6つの星座にまつわる物語がります。ギリシャ神話に出てくる古代エチオピアの物語です。

エチオピアにケフェウスという王様がいました。ケフェウスはとても立派な王様でした。お妃はカシオペアで、大変美しい女性でした。
そのカシオペアは、美しさを鼻にかけたり、高慢なところがありました。二人にはアンドロメダという美しいお姫様がいました。カシオペヤは娘の美しさが誇らしくて、いつも娘の自慢をしていました。
カシオペアは、あるとき、こんなことを言ってしまいました。「アンドロメダの美しさには、ネレイドたちも足元にも及ばない。」
ネレイドというは、海の神ポセイドンに仕える妖精で、ポセイドンの孫娘にあたります。この妖精たちも、美貌自慢でしたから、怒ってポセイドンに泣きつきました。孫娘たちを人間に馬鹿にされては、ポセイドンも穏やかではありません。カシオペアを懲らしめようと、恐ろしい化けくじらをエチオピアの海岸に送りました。
エチオピアの海岸には、毎日のように化けくじらがあらわれました。津波を起こして農作物を押し流したり、海岸では人や家畜に襲い掛かり、エチオピアの国は大混乱になりました。困ったケフェウスは、神様にお伺いを立てました。神様からの答えは、ポセイドンの怒りを静めるためには、アンドロメダを化けくじらの生贄にせよ、というものでした。
ケフェウスは国を守るため、泣く泣くアンドロメダを海岸の岩に縛り付けました。すると、海が波立ち、化けくじらが姿をあらわしました。そのときです。天馬ペガサスに乗った一人の若者が、空から舞い降りてきました。勇者ペルセウスです。ペルセウスは、魔女メデューサを退治して、その首を袋に入れて、故郷へ帰る途中でした。偶然通りかかったエチオピアで、岩に縛られたアンドロメダを見かけたのです。

ペルセウスは化けくじらの前に舞い降りると、メデューサの首を突きつけました。メデューサとは、その顔を見たものはすべて石になってしまうという、恐ろしい怪物です。これには化けくじらもひとたまりもありません。化けくじらは石になって、海の底へと沈んでいきました。

その後、ペルセウスとアンドロメダは結婚し、ペルセウスはエチオピアの王になり、二人は幸せに暮らしました。
・・・という物語です。


秋の星座


上記の話は、日本人がギリシャ神話をもとに作り替えた話です。本物のギリシャ神話は、こんな美しい話ではありません。
明治時代、日本にギリシャ神話が伝わってきました。しかしそれは、子供たちには聞かせられない、ドロドロした美しくない話でした。星座にまつわる神話が、子供の夢を壊すような話では都合が悪いと考えたまじめな日本人は、話を作り替えました。その作り替えられた話が、現代のプラネタリウムでも語り続けられています。日本人が知っている星座にまつわるギリシャ神話は、日本人が作った物語なのです。
興味のある方は、日本人の創作なしの、大元の物語を読んでみてください。実は、ペルセウスは悪いやつなのです。
ペルセウスは、アンドロメダが岩に縛られていく様子を上空から見ていて、何が行われているのか、状況を把握しました。そしてそのまま王宮に行って、ケフェウスと交渉をしました。「アンドロメダを助けてやるから、オレを国王にしろ。」
結果、化け鯨は退治されました。しかし、よく考えてみると、化け鯨がいなくなっても問題は解決していません。カシオペアが悪口を言ったのが始まりです。ポセイドンは鯨を岩にされてしまって、さらに怒ったかもしれません。ペルセウスはそれも承知で、アンドロメダをさらって、さっさと故居に帰ってしまいました。
その後、エチオピアはどうなったのでしょう?


ここに出てくる6つの星座の多くは、北の空にあります。北極星の上にケフェウス座とカシオペア座が並んでいます。これが王様夫婦です。アンドロメダ座はカシオペア座のすぐ南側にあります。ペルセウス座は、カシオペア座の隣で東側です。ペルセウスが乗ってきた天馬ペガサスは、アンドロメダ座とつながっていて、アンドロメダの南西側にあります。化けくじらのくじら座は、ちょっと離れた南の空にあります。








戻 る