カノープス


先々週放送分の話で、1等星は全部で21個あり、そのうち、日本から見えるのは15個だということを書きました。そして、そのうちの7つが冬の星座の中にあるのでした。実は栃木県よりも南の地域では、1等星がもうひとつ見えます。ですから、栃木県から見える1等星は全部で16個あって、そのうちの8個が冬の星座にあるということになります。

栃木県より南でしか見えないということは、南の地平線の低いところにあるということになります。福島県でもギリギリ見えるところはあるようですが、栃木・福島あたりが限界になります。それは、カノープスという星です。
太陽を除いて、全天で一番明るい恒星はシリウスですが、カノープスは2番目に明るい恒星です。
今夜の21時ごろ、南の地平線ギリギリに見えます。20時から22時ぐらいの間だけ、地平線から顔を出します。ですから、今週であれば、その時間帯にしか見られない1等星ということになります。

とても低いところにあるため、南に建物や山があったら見えません。ある程度、標高の高いところで、南の地平線まで見えるところでないとダメです。
南中した時の高さは、宇都宮で1.4度ぐらい。カノープスの位置から計算すると、0.9度なのですが、地平線近くにある星は空気による屈折で、0.5度ぐらい浮き上がります。足して1.4度ということです。
いずれにしても、すごく低いです。低いですが、地平線から満月を約3個、積み重ねた高さになります。それだけあると意外に見えます。私の自宅は栃木市ですが、自宅の屋上から見えます。地平線まで、空気がよく澄んでいる時でないとダメですが。


300mm望遠レンズで撮影


カノープスと地上の光を間違えることがあります。私も遠くにある低い山の頂上にあった光をカノープスだと思ってしまったことがありました。でも、建物や街灯の光は動きませんが、星は動くので、しばらく見ているとわかります。

わずかな時間しか見えない1等星のカノープス、今夜晴れたら見てみてください。









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