木星が衝


先週、春の星座は明るい星が少ないという話をしました。明るい星が少ないし、星の数自体も少ないです。でもそんな中で、木星が目立っています。木星は今、おとめ座にあります。木星の明るさは-2.5等星。一番明るい恒星のシリウスが-1.5等星ですから、1等違います。1等違うと明るさは約2.5倍違うので、今の木星はシリウスの2.5倍明るいわけです。
「今の木星は」と言いましたが、木星の明るさは変わります。地球も木星も、太陽の周りをまわっていますから、地球と木星の距離が近くなる時と遠くなる時があります。一番遠くなった時が-1.7等、一番近い時が-2.5等ぐらいです。
ということは、今が一番近い時なのです。実は、昨日(2017.04.08)の土曜日、木星が衝になりました。このとき、太陽・地球・木星の順で、ほぼ一直線上に並びました。地球と木星の距離も、最も小さくなりました。
今週の木星が一番明るくて、距離も近いということで、天体望遠鏡で見れば大きく見えるということです。また、衝のころは、地球から見た時、木星は太陽の反対側にあります。木星は太陽が沈むと同時に、東の地平線から昇って、朝、太陽が昇るときに西の地平線に沈みます。一晩中、いつでも見られ、観測するには都合がいいわけです。
木星を見るだけならいつでも見られますが、天体望遠鏡できれいな木星を見たいときは、木星が南中する頃が一番いいです。南中した時が地平線からの高さが一番高くなります。
以前にもお話ししましたが、天体から来る光は、地球の空気の層を通過してきます。空気は常に流れていて、そこを通過する光をゆがめます。光がゆがむと、惑星の場合は、ボケたり、ゆらゆら揺れたりして、細かい模様が見えなくなります。木星の位置が高いほど、通過する空気の層が薄くなります。


木星


今夜23時の南の空を見てみましょう。
おとめ座があります。その中に木星があります。月もあります。満月の2日前ぐらいの月です。月が明るくて、おとめ座の星は見つけられませんが、木星は見えます。23時台に天体望遠鏡で木星を見ると、一番きれいに見られます。

今が明るくて大きく見える木星です。まずは肉眼で見てみましょう。


2017.4.9 23時の南の空









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