かんむり座


今日の話題は「かんむり座」という星座と変光星の話です。
かんむり座は、21時頃、東の空の高いところにあります。小さいですが同じくらいの明るさの星が並んでいて、「かんむり」といわれれば、確かにそう見えます。アルファベットの「C」という字の形に星が並んでいて、見つけやすい星座です。ただし、この時間に見ると「C」の左右が逆で、裏返った「C」になっています。



その「C」の中に、「かんむり座R」という変光星があります。かんむり座の略号は「CrB」。「かんむり座R」星は、「R CrB」という表記になります。これを「アール・クラブ」と読みます。
変光星というのは明るさが変わる星ですが、「R CrB」がどのくらい変わるかというと、5.7等から15等の間で不規則に変光します。かなり大きな幅ですね。普段は約6等星で、肉眼でギリギリ見える明るさですが、時々、急激に暗くなって、その後、徐々に元の明るさに戻ります。15等星になってしまうと、大きな天体望遠鏡でも見えません。

この星の明るさが変わる理由は次の通りです。
この星は核融合反応が進んで、水素もヘリウムもなくなった星です。星の表面に、炭素がたくさんできています。ときどき、星の表面で爆発が起こって、炭素が上に吹き上げられます。炭素が星から離れると、冷えて炭素の粒、要するにススができます。黒いススが星を覆い隠して暗くなります。でも、ススはやがて下降して、恒星の熱で蒸発してなくなります。そうすると、明るさが元に戻ります。
こういう仕組みで明るさが変わる変光星は、他にもたくさんあります。その仲間で最初に発見されたのが、この星なので、かんむり座R型変光星と呼ばれています。

「R」という星の名前には、何か意味があるのでしょうか?
変光星の名前の付け方にはルールがあって、各星座の中で、変光星であることが確定した順に、アルファベットのRから始まって、R,S,T,U・・・と、順に名前が付けられます。かんむり座Rというのは、かんむり座で最初に見つかった変光星なのです。
でも、どうしてRから始まるのでしょう?
A~Qは変光星ではない、普通の星の名前として使われていることがあります。そのため、使われていないRから始まります。

かんむり座Rという変光星は、肉眼では見えないかもしれません。でも、かんむり座は簡単に見つかります。今夜、探してみてください。双眼鏡があれば、かんむり座Rも探せます。










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