超新星 (super nova)


今日の話は「超新星」です。
まず、「新星」というのは、夜空に突然、それまでになかった星が光り始めたものです。でも、それは新しく生まれた星ではなくて、これまでにあった星が死んだ瞬間です。特に大きな星が死んだときは、特別明るい「超新星」になります。星にも一生があって、それが終わるときに明るく輝くわけです。
新星は英語で「nova」、超新星は「super nova」です。

太陽にも寿命があります。太陽は宇宙の中で一番標準的な大きさの星で、寿命は約100億年です。ところが、太陽の10倍重い星は寿命が1億年、100倍重い星は200万年といわれています。重い星ほど急に寿命が短くなるわけです。太陽の8倍以上重い星の寿命が尽きたとき、どうなるか、というのが今日の話です。

どうなるかというと、超新星爆発といって、星の大部分を吹き飛ばす大爆発を起こします。
星が大爆発するといわれても、どのくらいすごいのか、イメージがわきませんね。我々の太陽がある天の川銀河は、2000億個ぐらいの星が集まってできています。その半分の1000億個ぐらいは中心部に集まっています。そこには含まれない、周辺にある1個の星が超新星爆発したとき、中心部全体と同じくらいの明るさになります。
・・・ということは、超新星爆発した1個の星の明るさが、1000億個の星を合計した明るさと同じということですね。・・・そう思ってもらってもいいのですが、正確に言うと違います。銀河の中心には「暗黒物質」といわれる、光を遮ってしまう雲のようなものがたくさんあります。それによって、中心部にある星の光が遮られるので、銀河中心部の明るさは、そこにある星の合計の明るさではありません。でも、それくらい明るくなるということです。

私たちが生きている間に、超新星を見られるでしょうか?

オリオン座と冬の大三角
赤い散光星雲がたくさん写っていますが、これらは肉眼では見えません
天体用の特別なカメラで写したときにだけ、このように写ります
オリオン座の左にある白い部分は冬の天の川です


ひとつの銀河の中で、超新星爆発は数十年に1回現れると考えられています。我々の天の川銀河も同様ですが、1604年以降、見られていません。数十年に1回なのに、400年以上も現れていないのです。
それは、太陽系から遠いところで超新星爆発が起こっても、途中に、先ほどの暗黒物質があるので、それに隠されて見えないのだと考えられます。太陽の近くにある星が、超新星爆発しないと見られないわけです。

太陽系の近くにあって超新星爆発しそうな星で、みなさんが知っているのは、オリオン座の「ベテルギウス」です。オリオン座の左上の星、冬の大三角のひとつです。ベテルギウスは元々明るい1等星ですから、それが超新星爆発したら、ものすごい明るさになります。昼間の青空の中でも見えるくらいの明るさです。逆に夜空だと、ベテルギウスが明るすぎて他の暗い星が見えなくなってしまいます。満天の星空を見たい人には、月と同じように邪魔になるわけです。そういう明るい状態が半年ぐらい続きます。

半年ぐらいなら我慢して、明るくなったベテルギウスを見続けるのもいいですよね。400年以上も現れていない超新星が、私たちが生きている間に見られたらいいですね。










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