火星大接近

今年は、火星が地球に大接近します。一番近くなるのは今週火曜日、7月31日です。その日だけではなくて、その前後、1ヶ月ぐらいは、十分観察できます。火星の大接近は15年ぶりです。

火星は、太陽系で地球のすぐ外側をまわっている惑星です。地球は太陽の周りを1周するのに1年かかりますが、火星は2年弱かかります。地球の方が公転周期が速いわけです。ですから、地球が火星の後ろから、追いついて、追い越していきます。火星にちょうど追いついたとき、地球と火星の距離が一番近くなります。火星を追い越して、次に追いつくまでに2年2ヶ月かかります。

それだと、2年2ヶ月ごとに、地球と火星が接近するわけですよね。どうして15年ぶりなのでしょう?

地球はだいたい円形に、太陽の周りを回っていますが、火星はかなり楕円です。ですから火星は、地球の軌道に近いときと遠いときがあります。火星がどの位置にいるときに地球が追いつくかで、地球と火星の距離が変わります。2年2ヶ月ごとに接近しますが、その都度、距離が違うわけです。日本が夏のときに接近すると、地球と火星の距離が一番小さくなって、「大接近」となります。反対に冬に接近するときは、距離が遠くて「小接近」です。

大接近というからには、火星が大きく見えます。比較の問題ではありますが、ふだんよりずっと大きく見えます。
良い天体望遠鏡で見ると、火星の模様が見えます。「良い天体望遠鏡で」というのがポイントです。今回、大接近で大きく見えると言っても、月の直径の1/80ぐらいの大きさです。その上、火星の模様はぼんやりしていて、見づらいのです


火星
本来ならば、このようなぼんやりした模様が見えるのですが、現在は砂嵐によって、眼視ではほとんど模様が見えません。
この写真も砂嵐を通して撮影したもので、一部の模様が消えています。
上にある白い部分は「極冠」と呼ばれるドライアイスでできた氷です。これはかろうじて見えます。


天体望遠鏡というのは、レンズや反射鏡の大きさが同じでも、ものによって、精度がけっこう違います。小さくてぼんやりした天体を見るには、精度の高い天体望遠鏡が必要です。精度の高いものは高価です。簡単に言えば、火星を見るには、値段の高い天体望遠鏡が必要ということです。値段の高い天体望遠鏡と言われてしまうと、一般の人には難しいですよね。火星大接近に便乗して売っている安物の望遠鏡は、買わない方がいい、ということです。

では、一般の人が火星を見たいときは、どうしたらいいでしょう?

一般公開している天文台では、今年は、「火星を見る会」的な催しがあります。こども総合科学館とか、宇都宮大学とか、大田原のふれあいの丘天文館など。それ以外でもあちこちでやるはずです。そういう観測会の予定を調べて、見に行ったらいいと思います。桁違いに高価な天体望遠鏡で火星を見られます。

ここで残念なお知らせですが、火星表面は、地球の砂漠と同じような状態になっています。火星ではときどき、大規模な砂嵐が発生します。火星の砂嵐は、地球のそれとは比べものにならないくらい大規模なものです。砂嵐が火星全面を覆ってしまい、模様が何も見えなくなってしまいます。
現在、その砂嵐が発生しています。少しは落ち着いてきましたが、眼視ではほとんど模様が見えません。

みなさんも火星観測会の情報を集めて、見に行ってみてください。金星、木星、土星も空にあるので、火星がダメでも、土星はきれいに見えます。










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