くじら座とミラ



10月ももうすぐ終わりです。秋が深まってきましたね。この時期の南の空には、くじら座が見えます。今回は、くじら座にあるミラという変光星の話です。

くじら座というのは、ホエールウォッチングで見る、大きくてかわいいくじらではありません。人々に災いをもたらしたり、アンドロメダ姫に襲いかかった化け物のくじらです。古代エチオピアの物語に出てくる化けクジラ。星座の絵を見ると、怖い顔をしていて、クジラなのに手があります。

下の図は、今夜22時の南の空に見えるくじら座です。



くじらの心臓の位置に「ミラ」という星があります。星座の図で見ると、心臓というより首のあたりですね。本物のクジラだと、そもそも首ってないですが、くじら座は星の位置と絵がズレています。下の写真で、星をつないだ線を見ると、ミラは手の付け根にありますよね。ほとんどの哺乳類は、そのあたりに心臓がありますよね。星座の線の結び方やイラストは、決まりがないのでどう描いてもいいことになっています。この絵はちょっとズレちゃった感じです。

ミラはいつでも見えるわけではありません。変光星で、明るさが変わる星です。それも2等星から10等星まで変わります。330日ぐらいの周期で明るさが変化しますが、今は肉眼でギリギリ見えるようになってきたところで、これからだんだん明るくなっていきます。そして12月に一番明るくなります。
2等星から10等星というのは、すごい差ですよね。2等星なら十分明るい星として見えますが、6等星より暗くなると肉眼では見えなくなります。くじらの心臓の位置にある大切な星なのに、1年のうち約半分は暗くて見えません。そのミラが今、やっと見えるようになってきました。

これから12月までの間、時々くじら座を見てください。ミラがだんだん明るくなっていくのがわかります。2週間に1回ぐらい見ていくと、「この前より明るいな」って感じると思います。くじら座はこれから先、冬の初めまで見えます。
ミラが見えるか見えないかで、星座の形が変わります。ミラが明るくなると、くじら座が手のあるクジラとして見えるようになります。

くじら座とミラ、これから今年いっぱいぐらい、時々見てみてください。











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